日々変化する取引先データの 効率的なメンテナンス方法とは

2024年7月22日 | データベース

取引先データを法人番号を利用してメンテナンス

国税庁が公開している法人番号の「差分データ(更新情報)」をご存知ですか? 差分データを詳しくみていくと、日々変化する 法人の「今」が見えてきます。
今回は、法人番号制度スタート以来 約 7年半(※)の差分データを集計し、新設の法人、商号・名称の変更、住所移転等の変動、を調査しました。
また、法人番号情報を活用した 取引先(法人顧客)データのメンテナンス方法や、データの活用方法も探ってみました。


※集計期間:2015年12月1日 ~ 2024年5月2日

[ 土・日曜日、祝日等の休日、年末年始(12月29日~1月3日)は除く。公開日数:2,045日 ]


法人番号情報の取得方法

国税庁の法人番号公表サイトでは、法人名を入力して 1件ずつ法人番号の検索ができます。
また、システム間連携インターフェース「法人番号システムWeb-API」も提供されており、インターネットを経由して企業のシステムからリクエストを送信して 検索・取得することが可能です。

法人番号情報をまとめて取得するには、国税庁の法人番号公表サイトから、法人等の「基本3情報(※)」をダウンロードします。全件データ(各都道府県別・前月末時点)と差分データ(全国・日次)の 2種類があり、差分データは 新規追加や商号及び所在地の変更、登記記録の閉鎖などの情報で、日ごとに更新されています。


※ 1.商号又は名称、2.本店又は主たる事務所の所在地、3.法人番号


さらに、経済産業省が提供している「法人番号付与ツール」を使用すれば、大量の法人顧客データに法人番号を追加することも可能です。


■参考情報
・国税庁法人番号検索サイト
https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/pc/index.html

・国税庁法人番号検索サイト 基本3情報ダウンロード
http://www.houjin-bangou.nta.go.jp/download/

・gBizINFO 経済産業省 法人番号付与ツール
https://https://info.gbiz.go.jp/tools/nayose/index.html

法人番号情報は、日々 追加・更新されていく

差分データの 発生件数 と 内訳は?


約 7年半(2015/12/ 1 ~ 2024/ 5/ 2)における、法人番号の差分データ(更新情報)の総数は 575万6,453件。
この内、「新規(設立登記した法人等 ※1)」が 352万8,309件と 全体の 6割以上(61.3%)を占め、次に多いのが「国内所在地の変更」の 139万1,029件(24.2%)。3番目は「登記記録の閉鎖等」ですが、54万267件(9.4%)と ひと桁の割合に止まっています。この 3つの事由(処理区分 ※2)による追加・更新が全体の約 95%を占めています。
また、差分データ件数を1日平均でみると、なんと 毎日何らかの変化が約 2,800件も起こっている計算になります。


※1 法人番号の指定対象者には、国の機関、地方公共団体、設立登記のない法人、人格のない社団なども含まれます。

※2 国税庁のオリジナル情報です。

【表】差分データの 処理区分別 件数(期間:2015/12/ 1~2024 / 5/ 2)

処理区分 データ件数
1 新規(設立登記した法人等) 3,528,309
2 国内所在地の変更 1,391,029
3 登記記録の閉鎖等 540,267
4 商号又は名称の変更 232,214
5 吸収合併 54,589
6 登記記録の復活等 7,376
7 国外所在地の変更 1,730
8 削除 826
9 商号の登記の抹消 90
10 吸収合併無効 23
合計 総件数 5,756,453

最多は 2019年3月25日、この日 4万件超の「新規」が追加


約 7年半の期間で 最も差分データの件数が多かったのは、2019年の3月25日(4万3,391件)。内訳をみると「新規(設立登記した法人等)」が 4万2,423件に上り、この日の差分データのほとんどが「新規」であったことがわかります。
「新規」の件数は、ほかの日では 多くても 8千から1万件程度で、この日が飛びぬけて多くなっています。平成から令和への改元(2019年5月1日)を間近に控えた時期(新元号発表は同年4月1日)であったため、「何か改元に関連した急増要因があったのではないか」と推察することもできますが、「なぜ 3月25日なのか」の理由は わかりません。

ちなみに 最近(2024年1月以降)の動向をみると、1月 5日が 1万2,471件と目立って差分データ数が多くなっています。ただしこの日は「新規」は少なく、「国内所在地の変更」が 1万 984件と大半を占めています。



差分データの年別 件数(2016~2023年)


2016~2023年の 差分データをみると、2016・2017年は30万件台だった件数が 2018年(117万9,570件)に急増、その後は 減少傾向をたどり、2022年(60万9,416件)、2023年(60万4,836件)はほぼ同水準に落ち着いています。

この中で ひときわ目立っているのは、2018年の件数です。「新規(設立登記した法人等)」が多かった(約 86万件)ことに加え、2018年がほかの年と異なるのは「吸収合併」が 2倍程度(約1万1,000件)に増えている点です。吸収合併をはじめとするM&Aが多い年であったことはうかがえるものの、なぜこの年にこれほど急増したのか、理由は定かではありません。


2016-2023 総件数・新規件数

大きく変化する企業の取引先データ、どう管理・活用する?

取引先データの管理方法を考える人

上記の集計からわかるように、差分データにみる法人の情報は、日々大きく変化しています。集計データから 1日の平均値を算出してみると、毎日 約1,700もの「新規(設立登記した法人等)」があり、国内 約 680社が所在地を移転し、約 110の企業が名称を変更しています。

一方、企業が保有する取引先(法人顧客)データも、思った以上のスピードで変わっているはずです。移転やM&A等が原因で、取引先の存在自体や所在地、社名等の情報が変わっている場合はもちろん、業務での運用を毎日続けているだけで、入力ミスや重複登録等 データ品質は知らず知らずのうちに低下していくものです。
たとえば 部署ごとに様々な種類の取引先データを管理し システム連携を図っている場合は、同じデータが複数存在したり、表記ルールがバラバラといった状態では、連携に支障をきたすことも考えられます。

社内データの鮮度・精度を保ち、業務で常に活用できる状態にしておくためには、日々のメンテナンスが効率的にできる仕組みをつくることが重要です。その点、国税庁が指定した法人番号は、法人に各々1つしかない「ユニークID」。名寄せなど 法人番号をキーにした取引先(法人顧客)情報の管理の 有効な手段になります。

次項では、取引先データの効率的なメンテナンス方法を探っていきます。


取引先データの効率的なメンテナンス方法

社内の取引先データに法人番号を付加する手順


データクレンジングと名寄せのプロセス

社内の取引先(法人顧客)管理に法人番号を利用するには、各取引先に 正確に法人番号を付加する必要があります。簡単に説明すると、次のような手順でおこないます。


1.データクレンジング・名寄せをする

大事な点は、まず保有データのクレンジングをおこなって、現時点の情報を最新化し、さらに名寄せで、重複データの統合をおこなっておくことです。こうして取引先データの品質が高まることによってマッチング精度も高まり、法人番号の正確な付加が実現します。その後の各部署における取引先データの運用もスムーズにおこなえる可能性が高まります。


2.法人番号を付加する

当記事冒頭の「法人番号情報の取得方法」で説明したように、法人番号は 法人番号公表サイトが提供しているWeb-APIにより、インターネットを経由して企業のシステムから検索・取得することが可能です。また、まとめて取得・付加したい場合は「全件データ」や「差分データ」をダウンロードして自社のシステムに取り込み、業務で使えるようにできます。


社内の業務で活用するまでのハードル


法人番号の活用に悩む人

このように、法人番号公表サイトが提供するデータやツールを使って、社内の取引先管理システムで法人番号を利用することは可能ですが、1 のデータクレンジング・名寄せ を成功させるには、多くの有効なツールとノウハウが必要なため、自社の力だけで実施するのはあまり現実的ではないかもしれません。

また、2 の Web-APIの利用やデータの一括ダウンロードも、プログラミング知識が必要であったり、業務で実際に活用するためには煩雑な「仕組み作り」が必要になったり。扱うデータが大きいほど 手間も時間もかかり、人材確保の面で 自社内で対応できないケースも多くなります。


表記ちがい、支店・営業所等‥‥付加できないケースも


支店や営業所

法人番号公表サイトで検索する場合、登記上の名称を正確に入力しなければ 目的の法人情報を見つけることができません。しかし実際には、自社データの社名表記と登記上の名称が違っていたり、住所が登記上の所在地と異なる場合は少なからずあること。そのような場合には「検索 または ダウンロードした法人番号情報を、自社データの取引先と正確にひも付けできない」という問題が生じます。

また、法人番号は 1法人に対し 1番号のみ指定され、支店や営業所等には指定されません。このため、自社の取引先データにある支店や営業所等には法人番号が正確にひも付けできない、という問題もあります。

このように、社内で難しかったり 時間やコストが かかりすぎる場合には、ITベンダーなど外部のサービスを利用する手もあります。
当社(日本ソフト販売)では、自社データと登記上の名称 または 住所が異なっている場合や、支店・営業所等にも法人番号を付加したい場合への対応が可能な「データクレンジング・名寄せサービス」「法人番号一括付加サービス」を提供しています。


【まとめ】 データ活用の可能性が広がる

差分データの調査からは、全国で日々多くの企業が新たに設立されたり、情報が更新されていることがわかりました。企業が保有する取引先データも例外ではなく、企業活動に有効に役立つ 正確な状態にしておくためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。

当社の強みは、データクレンジング・名寄せサービスで20年以上にわたるノウハウ持つことです。様々なツールと照合用マスタデータを駆使した多角的なマッチングにより、企業の保有データの最新化と名寄せ統合をおこない、法人番号や属性情報の付加率を高めています。

データクレンジング・名寄せの実施で 自社保有データの品質・価値を高め、ユニークIDの役割を果たす法人番号を正確に付加、さらに 業種・事業所・座標情報等を付加すれば、データ活用の可能性はますます広がっていきます。


日本ソフト販売の「データクレンジング・名寄せサービス」はこちら


「Valu∞(バリューインフィニティ)」は、誤表記、表記のゆれ、重複などを検出し、最新化や正規化、名寄せや統合をおこない、顧客データの精度を高めるサービスです。


問い合わせ

日本ソフト販売は、データベースを活用してビジネスの課題解決を支援します。

  • ● 新規開拓をするための、ターゲットリストが欲しい
  • ● 顧客情報の入力時間を短縮して、業務を効率化したい
  • ● 企業データベースを活用して、マーケティングをおこないたい
  • ● 自社製品やサービスに企業データベースを組み込みたい
  • ● 新システムの導入前に、顧客データを整備したい

お気軽にお問い合わせ・ご相談ください。