【2024年版】寿司チェーンの店舗数ランキング

2024年9月16日 | 業界・地域分析

寿司チェーン店

「回転寿司」とはいうものの、近年はタッチパネル注文や握った寿司を直接届ける直送レーン方式など、回らない提供形態が増えている寿司チェーン業界。最近の国内店舗数はどのような動きをみせているのでしょうか。
今回は、当社のチェーン店データを元に、寿司チェーンの1年間(2023年7月~2024年7月)の店舗数推移やチェーン別ランキング、前年同月比増減状況などを集計しました。
また、ランキング上位30チェーンの海外への出店動向も調べてみました。


データの集計方法について


  • 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
  • 2024年7月時点で、国内に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
  • 当社のチェーン店データ調査・収集は毎月を基本としていますが、隔月など定期収集のチェーンもあります。表・グラフの対象月に収集がなかったチェーンの場合、当月時点で最新のデータを記載しています。
  • 店舗数の増減率(%)は、2024年7月と2023年7月の対比で算出しています(小数点2位以下は四捨五入)。

目次


【月別推移】寿司チェーン 国内店舗数(全体、2023年7月~2024年7月)

↓0.9% わずかながら 2年連続の減少


寿司チェーン全体の店舗数推移(2023年7月~2024年7月)をみると、前月より減少した月の数(7)が 増加した月(5)を上回っています。その結果、2024年7月と2023年7月を比較した前年比では、0.9%(37店舗)の微減となりました。
当社の集計を遡ると、2022年版では約4%の増加率をみせていたものの、2023年版で1.1%のマイナスに転じ、今回(2024年版)も同程度の減少率と、わずかながらも2年連続の減少となっています。


寿司チェーン店舗数 月別推移

店舗数の前年同月比増減率

業種 2023年7月 2024年7月 増減率(%)
寿司チェーン 4,201 4,164 -0.9

【2024年版】寿司チェーン 店舗数ランキング

対前年増加率・減少率、ともに変動少なく


チェーン別店舗数ランキングを7月の前年同月比でみると、30チェーンのうち 増加が10で減少が13、プラスマイナスゼロは7チェーンとなっています。

上位3チェーンは揃って増加しているものの、「スシロー」が微増(0.6%増・4店増)で、「くら寿司」は若干増(1.7%増・9店増)。「はま寿司(4.8%・28店増)」の堅実な伸びが目立っています。
チェーン毎の増加率は全体的に低く、ランキング28位の「回転寿しトリトン」が最も高い、6.3%増となっています(増加数は1店舗のみ)。同様に、7位以降の増加チェーンは、いずれも数にすると、1・2店舗の増加に止まっています。

一方、減少したチェーンの対前年減少率も全体的に低めで、特に店舗数自体が少ないランキング下半のチェーンは、減ったといっても1・2店舗程度に過ぎません。そんな中、海鮮丼持ち帰りの「丼丸(13.3%・50店減)」のみ、2ケタの減少率となっています。

特に2022年版のランキングと比べると、増加・減少幅ともに、全体的に目に見えて小さくなっていることがわかります。


チェーン別店舗数ランキング(上位30チェーン)

順位 チェーン名 2023年7月 2024年7月 増減率(%)
1位 スシロー 640 644 +0.6
2位 はま寿司 581 609 +4.8
3位 くら寿司 542 551 +1.7
4位 銀のさら 383 374 -2.3
5位 丼丸 375 325 -13.3
6位 かっぱ寿司 292 288 -1.4
7位 魚べい 172 174 +1.2
8位 ちよだ鮨 167 167 0
9位 小僧寿し 155 146 -5.8
10位 すし銚子丸 86 82 -4.7
11位 回転寿司みさき 79 75 -5.1
12位 がってん寿司 68 70 +2.9
13位 活魚廻転寿司 にぎり長次郎 61 63 +3.3
14位 すしざんまい 57 56 -1.8
15位 にぎりの徳兵衛 43 41 -4.7
16位 平禄寿司 36 37 +2.8
17位 魚がし鮨 38 36 -5.3
18位 大起水産回転寿司 30 30 0
18位 うまい鮨勘 29 30 +3.4
20位 魚魚丸 27 28 +3.7
21位 寿しまどか 26 26 0
21位 回転寿司すし丸 26 26 0
23位 元祖寿司 25 24 -4.0
24位 魚屋路 22 21 -4.5
24位 ばらずし 21 21 0
26位 函太郎 21 20 -4.8
27位 回転寿司 なごやか亭 18 18 0
28位 すし三崎港 18 17 -5.6
28位 寿司 海都 17 17 0
28位 回転寿しトリトン 16 17 +6.3

ランキングは当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


日本ソフト販売が提供する、全国のチェーン店舗データ(飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど)についての詳しいサービス情報は、こちらからご覧いただけます。


【海外出店動向】大手3チェーンが積極展開も、最も多いのは・・・

「寿司(SUSHI)」は海外での認知度・人気が高く、外食産業の中でも海外展開が活発な業種の一つです。ここでは当社の国内店舗数ランキング上位30チェーン(ブランド)の、現在(2024年8月)における海外展開動向を調べてみました。

中堅・中小規模のチェーンの海外積極展開が目立ったラーメンとは異なり、寿司の場合、まとまった数の海外出店をおこなっているのは大手3社が中心となっています。
最大手・スシローの海外店舗数は163店(2024年7月現在)。「くら寿司」が 米国・台湾中心に124店(2024年7月現在)、「はま寿司」は 中国などに 69店(2024年6月末現在)を展開しています。

ところが、寿司業界で最も多く海外展開しているのは「Genki Global Dining Concepts(※)」が運営する「元気寿司(GENKI SUSHI)」で、米国やアジアの計9か国・地域に 242の店舗があります(2024年6月末現在)。同社は、国内では「魚べい(上記店舗数ランキング7位)」を主力ブランドとしており、国内店舗数の規模としては準大手・中堅どころの会社です。
また「がってん寿司」は、国内では地域が限られたチェーン(埼玉県中心に主に関東圏)であるものの、海外店舗数・42店(2024年9月1日現在)と積極姿勢をみせています。


※2024年8月に「元気寿司株式会社」から「株式会社Genki Global Dining Concepts」へ商号変更。


その他では「かっぱ寿司」が7店(2023年3月末現在)。持ち帰り大手の「銀のさら」「丼丸」「ちよだ鮨」は、今のところ1~2店舗の出店に止まっています。
ちなみに、当社の国内店舗数ランキングで 9位以降のチェーン(ブランド)では、上記「がってん寿司」以外は 海外出店が確認できませんでした。


【表】海外で10店舗以上を展開するチェーン(※)

※対象:当社の店舗数ランキング(国内)上位30チェーン。

※各社ホームページ および 決算報告資料に掲載されている情報のみを参考に作成しました。


チェーン名 海外店舗数 説 明
元気寿司 242 2024年6月末現在(株式会社Genki Global Dining Concepts 2025年3月期 第1四半期決算短信より)。米国、アジアの計9か国・地域。
スシロー 163 2024年7月現在(株式会社FOOD&LIFE COMPANIES「月次情報 - 2024年9月期 - 店舗数データ - 7月」より。台湾、中国大陸、香港、タイなど。
くら寿司 124 2024年7月現在(2024年7月度 月次情報より)。米国:64 台湾:57 中国大陸:3。運営会社は、くら寿司株式会社。
はま寿司 69 2024月6月末現在(ゼンショーホールディングス 2025年3月期 第1四半期決算短信より)。中国など。
がってん寿司 42 2024年9月1日現在(ホームページの店舗検索より)。韓国、中国、台湾、ベトナム。運営会社は株式会社アールディーシー。

【まとめ】海外展開の、経営への貢献度は?

海外に積極的なチェーンの利益伸びる


寿司チェーン運営各社の、2024年に公開された業績発表(四半期報告・決算短信、計8社分)を調べたところ(※)、回転寿司(寿司レストラン)各社は、ほとんどが売上高・利益(営業利益、純利益)ともに対前期比増加の「増収増益」となっています。前年同期の「損失」から「利益」へと改善したケースも目立っています。特に海外店舗数が多い会社は営業利益や純利益の増加幅が大きく、中には増加率100%を超える会社もみられました。


※対象:当社の店舗数ランキング上位30チェーンの運営会社。


一方、持ち帰り大手など海外出店が少ないチェーンの決算は「減収減益」や「損失」が目立ちます。また「増収増益」の場合でも小幅に止まっています。
もちろん、外食需要回復や価格改定、インバウンド消費拡大といった好調要因もあるため、海外店の多い少ないだけが業績を左右するわけではないものの、国内市場が成熟し、食材費等が高騰する昨今、「海外実績がいかに経営に貢献するか」という、飲食業界全般にも通じる背景がうかがえます。


海外出店はさらに拡大。少ない・未進出チェーンも模索続く


上項の【海外出店動向】で調査したところでは、寿司チェーンの海外進出は これまでのところ大手・中堅が担い、出店数が多いか少ないか(40店以上か、7店以下か)に分かれています。

そんな中、この3月(2024年)、グルメ回転寿司の「すし銚子丸」とロイヤルホールディングス、双日が、協業による合弁会社を米国カリフォルニア州に設立しました。すしを中心とする新業態の飲食店出店を計画しており、将来的には多店舗展開する方針とのこと。

このほか、運営会社がランキングのブランドとは別業態(高級路線や海鮮居酒屋)の海外店を出す動きもいくつかみられ、現時点では海外進出を果たしていないチェーンも さまざまな模索を繰り広げている様子がうかがえます。もちろん、すでに海外に積極姿勢の寿司チェーンは、さらに拡大に力を入れる動きをみせています。
寿司チェーンの海外進出は、どんな規模のどんな業態(回転、対面、グルメ回転、持ち帰り、すし居酒屋など)にまで広がっていくのか、今後の動向に注目したいところです。


本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


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