【2024年版】スーパーマーケット、総合スーパーの店舗数ランキング
2024年4月8日 | 業界・地域分析
日本チェーンストア協会集計の2023年(1~12月)総販売額が 4年連続で対前年比プラスとなり、最大手イオンの最高益更新(2024年2月期)が伝えられた スーパー業界。店舗数はどのような動きをみせていたのでしょうか。
2024年版(2023年1月~2024年1月)では、当社のチェーン店データを元に、スーパーマーケット・総合スーパー店舗数の月別推移やチェーン別店舗数ランキング、前年同月比増減状況など、過去記事(2023年版、2022年版、2021年版)との比較も交えて振り返ります。また、店舗数ランキング 計60チェーンの関係性(系列、所属グループ)についても考察しました。
データの集計方法について
- 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
- 2024年1月時点で、国内に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
- 同一のブランド名でも運営企業が異なる場合は、店舗数を分けて集計しています。
- 当社のチェーン店データ調査・収集は毎月を基本としていますが、隔月など定期収集のチェーンもあります。表・グラフの対象月に収集がなかったチェーンの場合、当月時点で最新のデータを記載しています。
- 店舗数の増減率(%)は、2024年1月と2023年1月の対比で算出しています(小数点2位以下は四捨五入)。
■目次(クリックすると各項目に移動します)
スーパーマーケット(食品スーパー、SM)
↑0.2% 4年連続で少しずつ増加
スーパーマーケット(SM)全体の1年間(2023年1月~2024年1月)の店舗数推移をみると、前月から減少した月は 2023年2・6・10・11月で、それ以外の月はプラスマイナスゼロ または 増加しています。SMは10店舗以上展開のチェーン数が「299(※)」と多く、全体としては 増加・減少とも小幅の動きに推移しています。この結果、2023年1月と2024年1月を比べた前年同月比では 0.2%の微増となりました。
当社の集計を遡ると、2021年版の前年同月比は 0.6%増、2022年版は1.9%増、2023年版が1.0%増、そして2024年版は0.2%増。少しずつとはいえ、近年のスーパーマーケットの店舗数は 増加を続けています。
※日本ソフト販売 調べ(2024年1月時点)。すべてのスーパーマーケットを網羅したものではありません。
【表】店舗数の前年同月比増減率
業種 | 2023年1月 | 2024年1月 | 増減率(%) |
---|---|---|---|
スーパーマーケット | 17,162 | 17,192 | +0.2 |
【ランキング】30チェーン中 20チェーンで増加 右肩上がりのチェーンも
チェーン別店舗数ランキングを1月の前年同月比でみると、30チェーン中 20チェーンで増加し、2チェーンがプラスマイナスゼロ、減少は 8チェーンとなっています。
増加率が断トツに高いのはランキング15位の「わくわく広場」。2021年版が3.6%増、2022年版では10.4%増、2023年版は13.4%増、そして今回が20.8%増と 右肩上がりに増加し、この4年間で56.8%(63店舗)増となりました。次いで増加率が高いのはランキング2位「まいばすけっと(関東)」の6.0%(63店舗)増で、24位「ハローズ(5.0%・5店舗増)」が、これに続いています。「業務スーパー」も4.0%(40店舗)増と 4年連続で増加しています。
一方、減少率が目立って大きいチェーンはなく、「ニュー・クイック」の 5.1%(5店舗)減が最大幅となっています。また、ランキング1位の「JAファーマーズマーケット(3.0%減)」と 3位「全日食チェーン(2.0%減)」は若干減となっており、どちらもここ4年で少しずつ減少幅が広がっている点が気になるところです。2023年版までランキング2位だった「全日食チェーン」を、今回「まいばすけっと(関東)」が逆転したことも注目に値する点です。
【表】チェーン別 店舗数ランキング(上位30)
順位 | チェーン名 | 2023年1月 | 2024年1月 | 増減率(%) |
---|---|---|---|---|
1位 | JAファーマーズマーケット | 1,528 | 1,482 | -3.0 |
2位 | まいばすけっと(関東) | 1,056 | 1,119 | +6.0 |
3位 | 全日食チェーン | 1,072 | 1,051 | -2.0 |
4位 | 業務スーパー | 1,010 | 1,050 | +4.0 |
5位 | ローソンストア100 | 664 | 649 | -2.3 |
6位 | ライフ | 296 | 305 | +3.0 |
7位 | 西友 | 259 | 254 | -1.9 |
8位 | スーパーマーケットバロー | 246 | 248 | +0.8 |
9位 | ヨークベニマル | 242 | 247 | +2.1 |
10位 | マルエツ | 226 | 226 | 0 |
11位 | 成城石井 | 196 | 201 | +2.6 |
12位 | マルナカ | 192 | 193 | +0.5 |
13位 | マックスバリュ(東海) | 188 | 190 | +1.1 |
14位 | ヤオコー | 181 | 184 | +1.7 |
15位 | わくわく広場 | 144 | 174 | +20.8 |
16位 | Mandai | 162 | 167 | +3.1 |
17位 | ベルク | 131 | 135 | +3.1 |
18位 | マックスバリュ(西日本) | 133 | 132 | -0.8 |
19位 | サミット | 122 | 123 | +0.8 |
20位 | マックスバリュ(九州) | 115 | 116 | +0.9 |
21位 | コープ(さっぽろ) | 108 | 108 | 0 |
21位 | いなげや | 106 | 108 | +1.9 |
21位 | 北野エース | 109 | 108 | -0.9 |
24位 | ハローズ | 101 | 106 | +5.0 |
25位 | フレスコ | 99 | 97 | -2.0 |
26位 | ニュー・クイック | 99 | 94 | -5.1 |
26位 | A-プライス | 93 | 94 | +1.1 | 28位 | オークワ | 89 | 91 | +2.2 |
29位 | カスミ(フードスクエアカスミ) | 88 | 89 | +1.1 |
30位 | カスミ | 87 | 88 | +1.1 |
◎参考情報:
上位チェーンの2023年以前の店舗数 経年推移(2019~2023年、1月時点)が【2023年版】【年推移】チェーン別 店舗数 で確認できます。
ランキングは当社のチェーン店舗データをもとに作成しています
日本ソフト販売が提供する、全国のチェーン店舗データ(飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど)についての詳しいサービス情報は、こちらからご覧いただけます。
総合スーパー(GMS)、ショッピングセンター(SC)
↑2.3% ほとんどの月で前月より増加
総合スーパー全体の1年間(2023年1月~2024年1月)の動きをみると、2023年6月に 3店減少したのみで、ほかの月はすべて増加または横ばいで推移しています。増加数は最大の月でも16店舗程度と少ないものの、1年間で2.3%増となりました。
当社の集計を遡ると、2021年版では前年同月比 6.3%減と落ち込み、2022年版は0.7%増と改善、2023年版 1.9%増、2024年版 2.3%増と、増加幅がわずかながら拡大しています。
【表】店舗数の前年同月比増減率
業種 | 2023年1月 | 2024年1月 | 増減率(%) |
---|---|---|---|
総合スーパー・ショッピングセンター | 2,572 | 2,632 | +2.3 |
【ランキング】「イオンスタイル」「ラ・ムー」が増加 継続 次世代型スマートストア が躍進
チェーン別店舗数ランキングを1月の前年同月比でみると、30チェーン中 16と過半数のチェーンで増加しており、プラスマイナスゼロが 6チェーン、減少は 8チェーン、となっています。
増加率が例外的に高いのは、ランキング28位の「TRIAL GO(200%増)」で、1年前の 3倍の店舗数となっています。同チェーンはトライアルホールディングス(福岡市)が 2022年4月から展開を始めた『次世代型スマートストア』で、AIカメラを用いた「24時間顔認証決済システム」などの先端技術を導入した、小型業態の店舗です。
また、ランキング5・6位の「イオンスタイル(11.5%増)」「ラ・ムー(10.6%)」の増加率の高さも目立っています。どちらのチェーンも2021~2024年版にかけて毎年増加していますが、特にイオンスタイルは4年連続 2ケタ増の高い伸びをみせています。
一方、減少したチェーンは、数にすると1~2店舗のわずかな減少がほとんど。そんな中、ランキング1位の「イオン(本州・四国)」は、3.5%(9店舗)減で、2021年に前年から大きく減少したあと、3年連続で若干減が続いています。
構造改革を進めているイトーヨーカドーも、4年連続の減少となっています。同チェーンは、2023年3月に「2026年3月までに店舗数を2割超減らす」と発表しており、2024年に入ってからも 北海道・東北・信越の 17店閉店や、川越店・柏店など首都圏でも閉店計画が明らかになっているため、今後も減少傾向が続くものとみられます。
【表】チェーン別 店舗数ランキング(上位30)
順位 | チェーン名 | 2023年1月 | 2024年1月 | 増減率(%) |
---|---|---|---|---|
1位 | イオン(本州・四国) | 256 | 247 | -3.5 |
2位 | スーパーセンタートライアル | 194 | 202 | +4.1 |
3位 | イオンモール | 157 | 161 | +2.5 |
4位 | イオンタウン | 151 | 156 | +3.3 |
5位 | イオンスタイル(本州・四国) | 113 | 126 | +11.5 |
6位 | ラ・ムー | 113 | 125 | +10.6 |
7位 | イトーヨーカドー | 125 | 124 | -0.8 |
8位 | フレスポ | 107 | 111 | +3.7 |
9位 | ベイシア | 93 | 96 | +3.2 |
10位 | ダイエー | 89 | 90 | +1.1 |
10位 | Olympic | 86 | 90 | +4.7 |
12位 | タイヨー | 73 | 74 | +1.4 |
13位 | イオン(九州) | 65 | 66 | +1.5 |
13位 | フジ | 64 | 66 | +3.1 |
15位 | アピタ | 64 | 63 | -1.6 |
16位 | ゆめタウン | 61 | 61 | 0 |
17位 | フレッシュバザール | 56 | 57 | +1.8 |
18位 | ピアゴ | 58 | 56 | -3.4 |
19位 | イオンショッピングセンター | 48 | 47 | -2.1 |
20位 | イオン(東北) | 44 | 46 | +4.5 |
21位 | イオン(北海道) | 36 | 37 | +2.8 |
21位 | サンリブ | 37 | 37 | 0 |
23位 | スーパータイヨー | 35 | 34 | -2.9 |
24位 | サンエー | 30 | 30 | 0 |
24位 | フジグラン | 30 | 30 | 0 |
26位 | マルイ | 28 | 27 | -3.6 |
27位 | アトレ | 25 | 25 | 0 |
28位 | 東光ストア | 25 | 24 | -4.0 |
28位 | ベイシアフードセンター | 24 | 24 | 0 |
28位 | TRIAL GO | 8 | 24 | +200.0 |
◎参考情報:
上位チェーンの2023年以前の店舗数 経年推移(2019~2023年、1月時点)が【2023年版】【年推移】チェーン別 店舗数 で確認できます。
【系列・グループ化】SM、GMS・SC店舗数ランキング 各30チェーンの関係性は?
SM、GMS・SC業界の系列化やグループ化は、全国規模の大手企業によるM&Aだけでなく、地方の企業同士の資本系列化や、独立した企業同士の協業グループの結成など、様々な形で 活発に繰り広げられてきました。
ここでは、SM、GMS・SC 店舗数ランキングに入っている各30チェーンの関係性(系列、所属グループ)についてまとめてみました。
所属チェーンが最も多いのは、やっぱり あの グループ
SMとGMS・SC合わせて 60チェーン中の 21チェーン(ブランド)が属する「イオングループ」は、やはり別格の存在。「イオン〇〇」や「マックスバリュ」「まいばすけっと」など、そもそも展開ブランドが多いのはもちろんですが、「ベルク」「ダイエー」「マルエツ」「カスミ、フードスクエアカスミ」「フジ、フジグラン」「マルナカ」「いなげや」と、提携や合併、統合を経て最終的に多くのSMやGMSの運営企業がイオンの資本系列に入っています。
そのほか 大手流通グループ傘下ブランドとしては、セブン&アイグループの「ヨークベニマル」「イトーヨーカドー」、PPIHグループ(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)の「アピタ」「ピアゴ」、三菱商事グループの「ライフ」「成城石井」「ローソンストア100」、住友商事グループの「サミット」などがあります。
それぞれ看板を守りつつ・・地方企業の資本系列グループ
次々と中小を飲み込んでいく大手グループに対抗する意味でも、地方でグループを形成する動きが活発化しています。
店舗数ランキング 30位以内に入っているチェーンの数は少ないものの、北海道・東北地域で大きな存在感を示しているのが「アークスグループ(株式会社アークス)」です。
2002年の発足以降 次々と北海道内のスーパーマーケットとのM&Aを図り、2024年3月現在 北海道・東北の 10社が傘下となっています(ホームページより)。SMランキング28位「東光ストア(旧商号:札幌東急ストア)」は、2009年に完全子会社となってグループ入りしています。
また 2018年には、アークスグループと、「スーパーマーケットバロー(SM 6位)」を展開するバローホールディングス、山口県に本拠を置くリテールパートナーズ の 3社が資本業務提携を締結し、「新日本スーパーマーケット同盟」を結成。それぞれの経営資源や経営ノウハウを有効活用し、「地域に密着した独立系食品流通企業の結集軸」として提携メリットの創出を進めています。
共同仕入・商品開発 50年・・中堅・中小の協業グループ
店舗数 各30位以内には、ニチリウグループ(日本流通産業株式会社)加盟企業の 5ブランド(ライフ、コープ さっぽろ、ゆめタウン、フレッシュバザール、サンエー)がランクインしています。その中でも「ライフ(SMの6位)」を展開するライフコーポレーションは SM大手。「ゆめタウン」を展開する株式会社イズミ(広島市)も、「コープ さっぽろ」も、それぞれ地域の有力企業・生協です。
ニチリウグループは 1974年に結成し、2024年3月現在 19企業が加盟、プライベートブランド「くらしモア」の展開や、スケールメリットを追求する共同仕入に取り組んでいます。
一方、1973年に設立された CGCグループ(株式会社シジシージャパン)に加盟しているのは、GMSランキング10位の「Olympic」と、SMランキング11位の「成城石井」、GMS 23位の「スーパータイヨー(茨城県)」の 3ブランド。
CGCグループは、総年商 5兆540億円、総企業数 206社、総店舗数 4,436店(2024年4月1日時点)の巨大組織ですが、小規模チェーンの割合が多いため、店舗数ランキング30位に入っているチェーンは少なめとなっています。
また、SMランキング3位の「全日食チェーン」も 地域のミニスーパーや個人商店の経営者が加盟する ボランタリーチェーンで、本部が 仕入れや販売促進などの事業を幅広くサポートする、協業組織です。
生き残りをかけて繰り返される歴史
このように 店舗数ランキングに入った 計60チェーンの関係性だけをみても、大手流通グループの勢力拡大と押し寄せる流通再編の荒波、これに対抗し 独立を守りたい中堅・中小のグループ化・・・といった業界の構図が浮かび上がります。
これらは半世紀以上前から繰り返され、2000年代以降から近年にかけて さらに激化している状況が窺えます。人口減や少子高齢化、異業種の食品参入・強化など さらなる競争激化の中、特に中小チェーンの今後の生き残り戦略に注目したいところです。
本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています
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