【2023年版】スーパーマーケット、総合スーパーの店舗数ランキング
2023年3月27日 | 業界・地域分析
コロナ禍の行動制限が緩和され、売り上げが順調な回復をみせた2022年のスーパーマーケット・総合スーパー業界。店舗数ではどのような動きをみせていたのでしょうか。
2023年版(2022年1月~2023年1月)では、当社のチェーン店データを元に、スーパーマーケット・総合スーパー店舗数の月別推移やチェーン別店舗数ランキング、前年同月比増減状況を集計しました。また、2019~2023年の店舗数年推移をチェーン別に比較することにより、ここ4年間の業界動向を探ってみました。
データの集計方法について
- 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
- 2023年1月時点で、国内に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
- 当社のチェーン店データ調査・収集は毎月を基本としていますが、隔月など定期収集のチェーンもあります。表・グラフの対象月に収集がなかったチェーンの場合、当月時点で最新のデータを記載しています。
- 店舗数の増減率(%)は、2023年1月と2022年1月の対比で算出しています(小数点2位以下は四捨五入)。
■目次(クリックすると各項目に移動します)
【月別推移】スーパーマーケット 店舗数(全体、2022年1月~2023年1月)
↑1.0% コロナ禍のもと増加基調続く
スーパーマーケット全体の1年間(2022年1月~2023年1月)の店舗数推移をみると、2022年9月(39店減)を除き、ほぼ前の月を上回って推移しています。増加店舗数は月5~40程度とわずかな数ではあるものの、2023年1月と2022年1月を比較した前年同月比では1.0%の増加となりました。
2021年版では前年同月比が0.6%増、2022年版は1.9%増、そして2023年版は1.0%増と、スーパーマーケットの店舗数は、コロナ禍のもと一貫して増加基調を維持しています。
店舗数の前年同月比増減率
業種 | 2022年1月 | 2023年1月 | 増減率(%) |
---|---|---|---|
スーパーマーケット | 17,050 | 17,227 | +1.0 |
【2023年版】スーパーマーケット 店舗数ランキング
30チェーン中17チェーンが増加 減少チェーンも若干減に止まる
チェーン別店舗数ランキングを1月の前年同月比でみると、30チェーン中17チェーンが増加し、4チェーンがプラスマイナスゼロ、減少チェーンは9となっています。
増加率が最も高いのはランキング16位の「わくわく広場」で、2021年版が3.6%増、2022年版では10.4%増、今回は13.4%増と、年々増加幅を広げて勢いづいています。次に増加率が高いのは6.2%(62店)増の伸びをみせたランキング3位の「まいばすけっと(関東)」。4位「業務スーパー」も5.9%(56店)と順調に増加しています。
減少チェーンでは、ランキング1・2位の「JAファーマーズマーケット」と「全日食チェーン」が、それぞれ2.1%(33店)、1.2%(13店)と少しずつ減っています。そのほかの減少チェーンも最大で4%弱程度の減少率に止まっており、微減・若干減がほとんどです。
チェーン別 店舗数ランキング
順位 | チェーン名 | 2022年1月 | 2023年1月 | 増減率(%) |
---|---|---|---|---|
1位 | JAファーマーズマーケット | 1,561 | 1,528 | -2.1 |
2位 | 全日食チェーン | 1,085 | 1,072 | -1.2 |
3位 | まいばすけっと(関東) | 994 | 1,056 | +6.2 |
4位 | 業務スーパー | 954 | 1,010 | +5.9 |
5位 | ローソンストア100 | 669 | 664 | -0.7 |
6位 | ライフ | 286 | 296 | +3.5 |
7位 | 西友 | 259 | 259 | 0 |
8位 | スーパーマーケットバロー | 242 | 246 | +1.7 |
9位 | ヨークベニマル | 234 | 242 | +3.4 |
10位 | マルエツ | 225 | 226 | +0.4 |
11位 | 成城石井 | 189 | 196 | +3.7 |
12位 | マルナカ | 195 | 192 | -1.5 |
13位 | マックスバリュ(東海) | 186 | 188 | +1.1 |
14位 | ヤオコー | 177 | 181 | +2.3 |
15位 | Mandai | 160 | 162 | +1.3 |
16位 | わくわく広場 | 127 | 144 | +13.4 |
17位 | マックスバリュ(西日本) | 134 | 133 | -0.7 |
18位 | ベルク | 125 | 131 | +4.8 |
19位 | サミット | 118 | 122 | +3.4 |
20位 | マックスバリュ(九州) | 113 | 115 | +1.8 |
21位 | 北野エース | 105 | 109 | +3.8 |
22位 | コープ(さっぽろ) | 108 | 108 | 0 |
23位 | いなげや | 107 | 106 | -0.9 |
24位 | ハローズ | 96 | 101 | +5.2 |
25位 | フレスコ | 99 | 99 | 0 |
25位 | ニュー・クイック | 103 | 99 | -3.9 |
27位 | イズミヤ | 93 | 93 | 0 |
27位 | A-プライス | 95 | 93 | -2.1 |
29位 | オークワ | 90 | 89 | -1.1 |
29位 | コモディイイダ | 86 | 89 | +3.5 |
【年推移】スーパーマーケット チェーン別 店舗数推移(2019~2023年1月時点、上位5チェーン)
JAファーマーズマーケット ~地域JAの直売所 4年前に比べ3.4%減~
当社のデータから店舗数の経年変化をみると、2020年に前年より23店増加したあと、17店減、27店減、33店減と少しずつ減少幅が広がっています。その結果、4年間で3.4%減となりました。
JAファーマーズマーケットは、地域ごとに設置された農協(単位農協)が運営する、地元農畜産物の直売所です。企業が経営するチェーンストアとは成り立ちが異なるものの、スーパーマーケット同様の形態でかつ同一ブランドの全国展開としては、ランキング1位の店舗数を誇ります。
当社データから都道府県別出店状況(2023年1月現在)をみると、北海道が120店と最も多く、愛知県(91店)、埼玉県(76店)、茨城県(64店)、東京都(63店)、の順で続いています。一方、10店舗未満の少ない地域は、奈良、福井、岩手、です。
全日食チェーン ~60年の歴史を持つボランタリーチェーン 3年前比1.7%減~
2021年1月は前年同月と同数だったものの、2022年、2023年と2年連続で前年の店舗数を下回りました。3年前との比較では1.7%の若干減となっています。
全日食チェーンは、地域のミニスーパーや個人商店の経営者が加盟する「ボランタリーチェーン」。地域商業の発展と加盟店の利益最大化を目的とし、「加盟店」「協同組合」「本部(全日本食品株式会社)」が協力し合いながら運営します。本部は共同出資で成り立っており、仕入れや販売促進など幅広く事業をサポート。加盟店(独立事業者)は自由度の高い営業形態で、それぞれ地域のニーズに合った商品・サービスを提供します。
当社データから都道府県別の出店状況をみると、最も加盟店が多いのは北海道(113店)で、次いで東京都(80店)、新潟県(67店)、埼玉県(55店)、神奈川県(52店)と続いています。一方、岡山や香川、京都、福井など比較的西日本は少ないようです。
※2019年1月時点は収集の対象となっていなかったため、2020~2023年の1月時点で比較しています。
まいばすけっと(関東) ~都市型小型食品スーパー 4年前比40.1%の急増~
当社の件数情報を経年でみると、91店、78店、71店、62店と年々増加し、4年間で40.1%の急増となりました。
「まいばすけっと」は、イオングループの都市型小型食品スーパー。「まいばすけっと株式会社」が関東エリアで、「イオン北海道株式会社」が北海道で運営しており、ランキング3位は「まいばすけっと株式会社」の店舗数です。
2005年に第1号店を出店し、2012年に「イオンリテール株式会社」から分社化されています。以来急速に出店数を伸ばし、今回の2023年版では1,000の大台に乗せています。
都道府県別の出店状況をみると、東京都に735店と全体の約7割の店舗が集中。次いで神奈川県に303店、埼玉・千葉県はそれぞれ8店と6店とまだまだ少ない状況です。因みに「まいばすけっと(北海道)」は2023年1月現在42店の展開となっています。
業務スーパー ~22年連続で増加 ここ4年間でも23.5%の大幅増~
34店、45店、57店、56店と毎年増加し、増加幅も徐々に拡大しています。結果2023年1月の店舗数は、4年前に比べ23.5%の大幅増となりました。「まいばすけっと」同様に今回2023年版で1,000店の大台に乗りました。
運営会社は、兵庫県加古川市の「株式会社神戸物産」で、1号店は2000年に出店しています。2022年10月27日付のプレスリリースでは、「22年間連続」つまり1号店出店以来店舗数が増加し続けていることを明らかにしています。
同チェーンではグループ内に多くの生産工場を持つことにより、コストパフォーマンスの高い様々なオリジナル商品の販売を可能にしています。また、約45ヵ国から直輸入した商品などのプライベートブランド商品が充実していることでも知られています。
当社の件数情報から出店地域を都道府県別にみると、47都道府県すべてに進出しており、最も多いのが大阪府(98店)で、東京都(84店)、神奈川県(78店)、静岡県(73店)、兵庫県(69店)の順に続いています。一方、2~3店と少ないのは徳島、島根、宮崎、高知、鳥取です。
ローソンストア100 ~生鮮・日配品も揃える小型店 4年前比16.3%減~
当社の件数情報から経年推移をみると、この4年間ずっと減少傾向をたどっており、特に2021年に81店減と減少幅が大きくなっています。
運営会社は「株式会社ローソンストア100」。1996年のスタート当時の店名は「99エンオンリーストア」で、株式会社ベストが運営していました。ローソンの連結子会社として本格稼働を始めたのが2008年で、現在の社名に変更されたのは2016年です。
同社ホームページでは「献立応援コンビニへ」という新たなテーマのもと「近くにあって生鮮・日配品も揃える品数豊富な小型店」を理念として掲げています。近年は100円均一価格にこだわらず、ニーズに応えるかたちで生鮮・日配品、冷凍食品などの導入を進めています。
都道府県別出店状況をみると、出店地域は10都府県に限られており、東京都への集中度が235店と比較的高くなっています。続いて神奈川県(108店)、大阪府(95店)、愛知県(90店)と、「都市型」の出店傾向を示しています。ごく少ないものの岐阜県(5店)と茨城(1店)にも店舗があります。
ランキングは当社のチェーン店舗データをもとに作成しています
日本ソフト販売が提供する、全国のチェーン店舗データ(飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど)についての詳しいサービス情報は、こちらからご覧いただけます。
【月別推移】総合スーパー・ショッピングセンター 店舗数(全体、2022年1月~2023年1月)
↑1.9% 毎月増加または横ばいで推移した、穏やかな1年
総合スーパー全体の1年間(2022年1月~2023年1月)の動きをみると、2022年6月にたった1店減少したのみで、ほかの月はすべて増加または横ばいで推移しています。増加数は月3~9店舗程度に過ぎないものの、1年間で1.9%の増加となりました。
総合スーパーの店舗数は、2021年版では前年同月比6.3%減と落ち込み、2022年版で0.7%増と改善、そして2023年版は1.9%と増加幅がやや拡大しています。店舗数の増減にはM&Aによる業界再編や大手グループ内の業態再編も絡んでいるため、必ずしも業況の好不調と連動しているわけではないものの、一連の動きから総合スーパー業界の順調な回復ぶりが窺えます。
店舗数の前年同月比増減率
業種 | 2022年1月 | 2023年1月 | 増減率(%) |
---|---|---|---|
総合スーパー・ショッピングセンター | 2,516 | 2,565 | +1.9 |
【2023年版】総合スーパー・ショッピングセンター 店舗数ランキング
大手は頭打ち? 伸びが目立つのは中堅チェーン
チェーン別店舗数ランキングを1月の前年同月比でみると、30チェーン中15チェーンが増加し、減少は8チェーンに止まっています。プラスマイナスゼロが7チェーンと現状維持のチェーンが多く、そのすべてが21~30位に固まっているのが特徴的です。
増加率が最も高いのは、ランキング11位の「Olympic(11.7%増)」で、19位「イオンショッピングセンター」が11.6%増でこれに続いています。上位では6位「ラ・ムー」と「イオンスタイル(本州・四国)」が、10.8%と同率で増加している点が目に付きます。どちらのチェーンも2021~2023年版にかけて毎年増加していますが、特にイオンスタイルは3年連続で2ケタ増の高い伸びをみせています。イオングループでは近年、他の業態からの転換も含め「イオンスタイル」業態の拡充が進んでいるようです。
スーパーマーケット同様大幅に減少したチェーンはないものの、ランキング1・2位の「イオン(本州・四国)」「スーパーセンタートライアル」はどちらも少しずつ減少し、5位「イトーヨーカドー」が3.1%減とやや大きめなど、大手チェーンの店舗数が頭打ち状態であることが窺えます。
チェーン別 店舗数ランキング
順位 | チェーン名 | 2022年1月 | 2023年1月 | 増減率(%) |
---|---|---|---|---|
1位 | イオン(本州・四国) | 260 | 256 | -1.5 |
2位 | スーパーセンタートライアル | 195 | 194 | -0.5 |
3位 | イオンモール | 154 | 157 | +1.9 |
4位 | イオンタウン | 147 | 151 | +2.7 |
5位 | イトーヨーカドー | 129 | 125 | -3.1 |
6位 | ラ・ムー | 102 | 113 | +10.8 |
6位 | イオンスタイル(本州・四国) | 102 | 113 | +10.8 |
8位 | フレスポ | 105 | 107 | +1.9 |
9位 | ベイシア | 94 | 93 | -1.1 |
10位 | ダイエー | 85 | 89 | +4.7 |
11位 | Olympic | 77 | 86 | +11.7 |
12位 | タイヨー | 76 | 73 | -3.9 |
13位 | イオン(九州) | 64 | 65 | +1.6 |
14位 | アピタ | 63 | 64 | +1.6 |
14位 | フジ | 62 | 64 | +3.2 |
16位 | ゆめタウン | 62 | 61 | -1.6 |
17位 | ピアゴ | 59 | 58 | -1.7 |
18位 | フレッシュバザール | 54 | 56 | +3.7 |
19位 | イオンショッピングセンター | 43 | 48 | +11.6 |
20位 | イオン(東北) | 43 | 44 | +2.3 |
21位 | サンリブ | 37 | 37 | 0 |
22位 | イオン(北海道) | 37 | 36 | -2.7 |
23位 | スーパータイヨー | 34 | 35 | +2.9 |
24位 | サンエー | 29 | 30 | +3.4 |
24位 | フジグラン | 30 | 30 | 0 |
26位 | マルイ | 28 | 28 | 0 |
27位 | 東光ストア | 25 | 25 | 0 |
27位 | アトレ | 25 | 25 | 0 |
29位 | ベイシアフードセンター | 24 | 24 | 0 |
30位 | イオンスーパーセンター | 22 | 22 | 0 |
【年推移】総合スーパー・ショッピングセンター チェーン別 店舗数推移(2019~2023年1月時点、上位5チェーン)
イオン(本州・四国) ~イオングループの中核 4年前に比べ39.2%の急減~
当社のデータから経年変化の状況をみると、2021年に149店舗と大きく減少しており、2022・2023年も連続して若干数が減っています。その結果4年前に比べると39.2%の大幅減となりました。イオンでは近年グループ内で業態再編を進めているため、2021年の大幅減もグループ内の業態転換等が含まれている可能性があります。
運営会社は「イオンリテール株式会社」で、関東・中部・近畿・中国・四国地方での事業展開を担っています。3年連続2ケタ増の高い増加率をみせているランキング6位の「イオンスタイル(本州・四国)」も、同社が展開しています。
2023年1月時点での都道府県別出店状況をみると、最も多いのは兵庫県(28店)で、千葉県と愛知県が24店で並び、新潟県(22店)、大阪府(19店)、三重県(18店)の順で続いています。群馬・富山・和歌山・高知県は、今のところ1店ずつの出店となっています。
スーパーセンタートライアル ~リテールDXを推進 4年前比17.6%の大幅増~
11店、14店、5店と順調に増加し、2023年は1店減と一息ついた形に。4年前と比較すると17.6%の大幅増で、上位5チェーン中断トツの増加率となりました。
運営会社は福岡市の「株式会社トライアルカンパニー」で、スーパーセンターの1号店がオープンしたのは1996年。2015年にトライアルホールディングスを設立し、持株会社体制に移行しています。
同社の中核は中型の「スーパーセンター※」ながら、小型から大型まで多岐に渡るディスカウントストアを展開しています。また、ITを祖業としていることもあり、オリジナルのスマートフォン決済アプリの導入をはじめ、リテールAIカメラ、次世代型スマートストアの投入など、リテール分野でのデジタル・トランスフォーメーション(DX)推進企業としても知られています。
※ディスカウントストアとスーパーマーケットの複合店舗。
進出していない地域にとっては馴染みが薄い同チェーンですが、2023年1月時点で全国30都道府県に店舗があります。都道府県別にみると、本拠地の福岡県が40店と最も多く、2番目は北海道(22店)で、この2道県で全体の3割強を占めます。以下、山口県(10店)、佐賀県(9店)、三重・大阪・大分・宮崎県が8店で続いています。
イオンモール ~モール型SCの代表格 4年前に比べ6.1%増~
当社の件数情報を経年でみると、2020年1月が前年同月比プラスマイナスゼロで、その後3年連続で3店ずつ増えています。対4年前比では6.1%の増加となりました。
運営会社は「イオンモール株式会社」で、現在の名称になったのは2001年です。モール型のショッピングセンターの1号店(イオンモールつがる柏)は、1992年に開店しています。当時グループ内では様々な大規模SC業態が存在していましたが、2007年にすべての大規模SC名を「イオンモール」に変更・統一しています。
都道府県別の動向をみると、2023年1月現在44の都道府県に出店しており、福井・山口・長崎県が未進出地域となっています。最も店舗数が多いのは愛知県(13店)で、埼玉・千葉県が11店、大阪府が10店、兵庫・福岡県が9店で続いています。店舗数が1店のみの県も11県(福島・山梨・滋賀県など)と、意外に多くみられます。
イオンタウン ~主にNSCを展開 4年間で9.4%増の高い伸び~
経年変化をみると、2020~2022年にそれぞれ前年より3店増加し、2023年も4店増と毎年少しずつ増えています。その結果、4年間で9.4%増の高い伸びを示しています。
運営会社は「イオンタウン株式会社」。同社が主に開発・運営するのはショッピングセンター(SC)の中でもNSC(Neighborhood Shopping Center)と呼ばれる、日常生活に必要な機能を揃えた近隣型SCの分野です。同社は「ロック開発株式会社」として1992年に設立し、NSC1号店は1994年にオープン。2011年に現社名に変更しています。
同チェーンが出店しているのは全国40都道府県(2023年1月現在)。イオンの本拠地・千葉県が17店で最も多く、宮城県が12店、三重・大阪がそれぞれ9店、静岡・愛知が8店ずつ、と続いています。一方少ない方では、1店のみの出店が14都道府県(北海道、山形県、新潟県など)に上ります。
イトーヨーカドー ~店舗閉鎖計画を発表 4年前比20.4%の大幅減~
当社の件数情報から経年推移をみると、4店、16店、8店、4店と年々減少し、ここ4年間で20.4%減の大幅減となりました。
運営会社は、セブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下の「株式会社イトーヨーカ堂」。1920年に東京・浅草で開業した洋品店「羊華堂」をルーツとし、1958年に同社(当時の社名は「株式会社ヨーカ堂)が創業。その後総合スーパーとして業容を拡大していきましたが、近年は業績不振から不採算店の閉鎖など構造改革を進めていました。
こうした状況を背景に、先ごろ(2023年3月初め)「2026年2月末までに店舗数を93店とする」店舗閉鎖計画を発表し、祖業のアパレルからの撤退も決めています。米ファンドなど一部株主からはヨーカ堂事業の撤退・売却を求められたものの、コンビニエンスストアとスーパーとの食のシナジー効果を重視し、「スーパーストア事業は譲れない」との結論に至ったようです。
当社データから都道府県別出店状況をみると、2023年1月時点で全国19都道府県に店舗があり、最も多いのは神奈川県(29店)で、東京都(27店)、埼玉県(19店)、千葉県(16店)と続きます。これら首都圏で全体の7割超を占め、首都圏以外の地域はすべて合わせても35店となっています。
現時点(2023年3月初旬)で閉鎖する店舗名は発表されていないものの、首都圏以外の地域を中心に削減し、さらなる首都圏集中を図る方針が示されています。
【まとめ】「SM」「GMS・SC」ともに販売額・店舗数は増加傾向だが・・・
日本チェーンストア協会が公表している2022年1月~12月の販売統計(※)によると、総販売額は13兆2,656円余で、前年比は101.9%(店舗調整後)、3年連続のプラスとなっています。
※会員企業56社、10,683店舗における販売動向。
当社集計の2020~2022年における店舗数の動きをみても、SMは毎年前年を上回り、2020年のコロナ特需による好調を持続する形となっています。一方、GMS・SCは2020年を底に上昇に転じ、状況が好転していることを示唆しています。
コロナ禍1年目の2020年当時は「巣ごもり特需で好調のSM 対 外出自粛や営業時短で苦戦を強いられるGMS・SC」という構図があったものの、2022年には両業界の違いはほぼ解消され、どちらも「全体としては好調」といえる状況になっています。
とはいえ上位30チェーンの中身をよく見ると、「SM」「GMS・SC」ともに、力強い増加は少なく若干・微増に止まり、プラスマイナスゼロの横ばいも目立っています。果たして「成長している」とまで言えるのか、微妙な状況です。
また、2021年版(2020年1月~2021年1月)でみられた「従来の主力業態が伸び悩み、都市型小型スーパーなど比較的新しい業態が店舗数を伸ばす」という傾向は2023年版(2022年1月~2023年1月)でも続いており、グループ内での業態再編や業績不振による店舗再編など、構造改革をめぐる模索が繰り広げられている状況には変わりはありません。
また、原材料・光熱費高騰や賃上げによる人件費上昇など、昨今の急激な環境変化がSM、GMS・SCのこの「微妙な好調・成長」にどのような影響をもたらすのか、今後の動向が注目されます。
本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています
日本ソフト販売が提供する、全国のチェーン店舗データ(飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど)についての詳しいサービス情報は、こちらからご覧いただけます。
公式Facebookはこちら open_in_new