【2021年版】スーパーマーケット、総合スーパーの店舗数ランキング
2021年5月24日 | 業界・地域分析
2020年から続くコロナ禍の中、「スーパーマーケット」は、外食から内食へのシフトによって好影響を受けていると見られている業界です。
今回は、当社のチェーン店データを元に、スーパーマーケットの店舗数推移やチェーン別ランキング、コロナ禍影響以前と以後の前年同月比(1月)増減状況、などを集計しました。
また、規模が大きく食品以外も幅広く扱う「総合スーパー・ショッピングセンター」も同様に集計し、業態による違いを考察しました。
データの集計方法について
- 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーンを網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
- 全国に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
- 店舗数の増減率(%)は、2021年1月と2020年1月の対比で算出しています(小数点2位以下は四捨五入)。
スーパーマーケット(SM)
↑0.6% 20位内中「店舗数増」が13チェーン、中堅どころがやや苦戦か
2020年のスーパーマーケットの店舗数推移をみると、年初から減少傾向にあったものの、5月を底に増加に転じ年末にかけて増加し続けました。増加は翌2021年1月まで続き、2月に若干減少。しかし、3月にはまた大きく増加しています。
件数の伸びとしては、2020年10から11月の44店増と、2020年12月から2021年1月にかけての40店増、2021年2月から3月の69店増が目立ったところです。
2020年1月と2021年1月の前年対比でみると、1年後は0.6%の微増となっています。
件数の前年同月比増減率
業種 | 2020年1月 | 2021年1月 | 増減率(%) |
---|---|---|---|
スーパーマーケット | 16,856 | 16,953 | +0.6 |
スーパーマーケット店舗数 チェーン別ランキング
全体的にみると、20位以内は前年同月比プラスが13チェーン、プラスマイナスゼロの現状維持が3チェーンと、順調な業績推移が窺える結果となりました。しかし21~30位では前年同月比増は2チェーンに止まり、その他のチェーンは小幅ながらも減少しています。店舗数規模で中堅どころのチェーンがやや苦戦しているようです。
チェーン別にみていくと、店舗数トップの「JAファーマーズマーケット」は前年同月比で微減、2位のボランタリーチェーン「全日食チェーン」は増減なしとなっています。店舗数の増加率が最も高いのは、イオン傘下の都市型小型スーパーである「まいばすけっと」の9.2%増。「業務スーパー」も5.3%と順調に店舗数を伸ばしました。一方「ローソンストア100」は、この1年余を通して漸減した結果、前年同月比で10%を超える最も大きな減少幅となりました。
また、ランク外の中小規模チェーンでは、競合激化の中でも現状維持が圧倒的に多いことから、コロナ禍がスーパーマーケット全体にどちらかといえばプラスの影響をもたらしていることが窺えます。
チェーン店別件数ランキング
順位 | チェーン名 | 2020年1月 | 2021年1月 | 増減率(%) |
---|---|---|---|---|
1位 | JAファーマーズマーケット | 1,605 | 1,588 | -1.1 |
2位 | 全日食チェーン | 1,090 | 1,090 | 0 |
3位 | まいばすけっと | 845 | 923 | +9.2 |
4位 | 業務スーパー | 852 | 897 | +5.3 |
5位 | ローソンストア100 | 764 | 683 | -10.6 |
6位 | ライフ | 274 | 278 | +1.5 |
7位 | 西友 | 256 | 262 | +2.3 |
8位 | スーパーマーケットバロー | 251 | 253 | +0.8 |
9位 | ヨークベニマル | 228 | 232 | +1.8 |
10位 | マルエツ | 224 | 224 | 0 |
11位 | マックスバリュ(東海) | 175 | 185 | +5.7 |
12位 | 成城石井 | 170 | 180 | +5.9 |
13位 | ヤオコー | 164 | 168 | +2.4 |
14位 | Mandai | 155 | 155 | 0 |
15位 | マルナカ | 139 | 136 | -2.2 |
16位 | マックスバリュ(西日本) | 134 | 132 | -1.5 |
17位 | ベルク | 114 | 122 | +7.0 |
18位 | サミット | 117 | 120 | +2.6 |
19位 | わくわく広場 | 111 | 115 | +3.6 |
20位 | マックスバリュ(九州) | 111 | 113 | +1.8 |
21位 | コープ(さっぽろ) | 107 | 107 | 0 |
22位 | いなげや | 109 | 106 | -2.8 |
23位 | ニュー・クイック | 110 | 103 | -6.4 |
24位 | フレスコ | 101 | 99 | -2.0 |
25位 | 北野エース | 92 | 98 | +6.5 |
26位 | イズミヤ | 100 | 96 | -4.0 |
27位 | マルショク | 95 | 93 | -2.1 |
28位 | オークワ | 94 | 92 | -2.1 |
29位 | コープ(こうべ) | 92 | 91 | -1.1 |
30位 | ハローズ | 85 | 90 | +5.9 |
総合スーパー(GMS)・ショッピングセンター(SC)
↓6.3% 店舗数上位チェーンで増減幅が大きく、中小(50店以下)は変化少なく安定
ここ1年の総合スーパー・ショッピングセンターの店舗数推移をみると、2020年2月から3月に約140店減と大きく減少したあと、2021年2月までほぼ横ばいに推移しています。2→3月の急降下は「イオン(本州・四国)」の減少をそのまま反映したものです。
件数の前年同月比増減率
業種 | 2020年1月 | 2021年1月 | 増減率(%) |
---|---|---|---|
総合スーパー・ショッピングセンター | 2,639 | 2,472 | -6.3 |
総合スーパー・ショッピングセンター店舗数 チェーン別ランキング
全体的にみると、店舗数上位企業に大きな増減率の変動がみられる一方、店舗数50店以下の中小チェーンは全般的に安定した推移をみせており、ほとんどが増減幅1~2件の範囲に収まっています。総合スーパーの場合、コロナ禍においてはむしろ中規模以下が安定を維持しているようです。
チェーン別にみていくと、店舗数1位の「イオン(本州・四国)」が上記2→3月の大幅減で前年同月比35.4%減と大きく落ち込む一方、2位の「スーパーセンタートライアル」は1年で8.0%と順調に店舗を増やしました。そのほか増加では、9位「イオンスタイル」の15.0%増、減少では5位の「イトーヨーカドー」の10.5%減、13位「アピタ」の17.5%減などが目立っています。
チェーン別件数ランキング
順位 | チェーン名 | 2020年1月 | 2021年1月 | 増減率(%) |
---|---|---|---|---|
1位 | イオン(本州・四国) | 421 | 272 | -35.4 |
2位 | スーパーセンタートライアル | 176 | 190 | +8.0 |
3位 | イオンモール | 153 | 151 | -1.3 |
4位 | イオンタウン | 141 | 144 | +2.1 |
5位 | イトーヨーカドー | 153 | 137 | -10.5 |
6位 | ベイシア | 111 | 110 | -0.9 |
7位 | フレスポ | 108 | 107 | -0.9 |
8位 | ラ・ムー | 94 | 96 | +2.1 |
9位 | イオンスタイル | 80 | 92 | +15.0 |
10位 | タイヨー | 80 | 77 | -3.8 |
11位 | ダイエー | 76 | 70 | -7.9 |
12位 | Olympic | 69 | 69 | 0 |
13位 | アピタ | 80 | 66 | -17.5 |
14位 | イオン(九州) | 66 | 65 | -1.5 |
15位 | ピアゴ | 68 | 63 | -7.4 |
15位 | ゆめタウン | 67 | 63 | -6.0 |
17位 | フジ | 57 | 59 | +3.5 |
18位 | フレッシュバザール | 50 | 52 | +4.0 |
19位 | イオン(東北) | 41 | 44 | +7.3 |
19位 | イオンショッピングセンター | 44 | 44 | 0 |
21位 | イオン(北海道) | 37 | 37 | 0 |
21位 | サンリブ | 38 | 37 | -2.6 |
23位 | サンエー | 30 | 30 | 0 |
23位 | スーパータイヨー | 30 | 30 | 0 |
23位 | フジグラン | 30 | 30 | 0 |
26位 | マルイ | 30 | 29 | -3.3 |
27位 | 東光ストア | 25 | 25 | 0 |
27位 | アトレ | 24 | 25 | +4.2 |
29位 | ベイシアフードセンター | 24 | 24 | 0 |
30位 | イオンスーパーセンター(東北) | 22 | 22 | 0 |
低くなる業種・業態間の垣根
ドラッグストアやコンビニとの食い合いも
今回の集計結果は、「巣ごもり特需で好調のSM」対「外出自粛や営業時短で苦戦を強いられるGMS・SC」という最近報道される業況が、店舗数においてもおよそ当てはまることを浮き彫りにしています。とはいえ、スーパーマーケット数は僅かの増加に止まり、チェーン間の明暗もくっきり表れているため、それほど単純な構図に落とし込むこともできません。
スーパー業界では、以前から新しい業態の開発や不採算店の統廃合、提携・合併など、再編が繰り広げられてきました。今回の集計でも、従来のスーパーマーケットが伸び悩む一方で都市型小型スーパーや業務スーパーが店舗数を伸ばし、同じGMSグループ内でも従来の主流店舗が減って新しい業態の店舗数が増える、といった業態間の浮き沈みが見受けられます。
また、最近ではドラッグストアなど別の小売業種で生鮮食品に力を入れるチェーンが増え、スーパーマーケットや総合スーパーの分野を浸食しつつあります。同じスーパーマーケットの間でも、都市型小型スーパーが店舗面積を増やした展開を進めるなど、従来の棲み分けから外れた競合要因も生まれています。また、コンビニも野菜・果物や日配食品、冷凍食品と商品展開の幅を広げたり、ドラッグストアと提携してヘルスケア強化型店舗を展開するなど、さまざまな戦略が試みられています。
激動の2020年を経て、業種・業態間の垣根が低くなり互いに浸食し合う状況が加速しています。「どんな顧客がいる、どんな立地に、どんな業態をどう展開をしていくのか」。
ネットスーパーやデジタル技術の活用も含め、今後はより緻密な戦略がチェーンや業種・業態間の浮沈を左右しそうです。
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本記事は日本ソフト販売のチェーン店舗データをもとに作成しています。飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど、全国のチェーン店舗データを提供するサービスについて、詳しい情報を掲載しています。
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