【2023年版】ラーメンチェーンの店舗数ランキング

2023年8月28日 | 業界・地域分析

ラーメンチェーン店

このところ海外でのラーメン人気が高まり「価格が高くても売れている」といわれるラーメンチェーン。国内の店舗数はどのような動きをみせているのでしょうか。
2023年版(2022年7月~2023年7月)では、当社のチェーン店データを元に、「ラーメン・餃子チェーン」の店舗数ランキングや前年同月比の増減状況を集計しました。また、ランキング上位5チェーン と 近年店舗数の伸びが大きいチェーンをピックアップし、年推移(2019~2023年)や 都道府県別の店舗展開状況 をまとめました。


データの集計方法について


  • 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
  • 2023年7月時点で、国内に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
  • 当社のチェーン店データ調査・収集は毎月を基本としていますが、隔月など定期収集のチェーンもあります。表・グラフの対象月に収集がなかったチェーンの場合、当月時点で最新のデータを記載しています。
  • 店舗数の増減率(%)は、2023年7月と2022年7月の対比で算出しています(小数点2位以下は四捨五入)。

【月別推移】ラーメンチェーン 店舗数(全体、2022年7月~2023年7月)

↓0.2% 小幅な増加・減少で推移


ラーメンチェーン全体の1年間(2022年7月~2023年7月)の店舗数推移をみると、前月より増加した月が7カ月あったものの、増加数合計(39店)より減少数合計(53店)の方が多かったため、1年間で0.2%の微減となりました。
2022年版の前年同月比は0.04%減のほぼ横ばいでしたが、2023年版は ほんのわずかながら減少幅が広がっています。


ラーメン・餃子 月別推移

店舗数の前年同月比増減率

業種 2022年7月 2023年7月 増減率(%)
ラーメン・餃子チェーン 7,414 7,400 -0.2

【2023年版】ラーメンチェーン 店舗数ランキング

大手は「横ばい・若干減傾向」、新興勢の勢いも弱まる


チェーン別店舗数ランキングを2023年7月と2022年7月の前年同月で比較すると、10位以内は減少チェーンが「7」と多くなっています。増加しているチェーン(日高屋、Sugakiya)も増加率は低く、9位の「丸源ラーメン」のみ7.1%増(13店舗増)と健闘しています。

大幅増のチェーンは11~30位に4チェーンあり、21位の「ずんどう屋(25%増)」が最も高い伸び率となっています。次いで「まこと屋」が15.5%増、「町田商店(13.4%増)」、「神座(11.9%増)」と続いています。ただ、2022年版に比べると2ケタ増のチェーンが減少しており、増加率も全体的に低下するなど、出店の勢いはやや弱まっているようです。
また、11~30位で店舗数が減少しているチェーンは、創業半世紀を超えるような業歴の長いチェーンが目立っています。


チェーン別 店舗数ランキング

順位 チェーン名 2022年7月 2023年7月 増減率(%)
1位 餃子の王将 734 731 -0.4
2位 リンガーハット 586 567 -3.2
3位 日高屋 403 408 +1.2
4位 幸楽苑 404 385 -4.7
5位 大阪王将 359 341 -5.0
6位 Sugakiya 257 258 +0.4
7位 来来亭 250 249 -0.4
8位 天下一品 229 220 -3.9
9位 丸源ラーメン 183 196 +7.1
10位 らあめん花月 199 190 -4.5
11位 山岡家 168 174 +3.6
12位 田所商店 155 162 +4.5
13位 くるまや 148 144 -2.7
14位 魁力屋 121 127 +5.0
14位 町田商店 112 127 +13.4
16位 8番らーめん 116 115 -0.9
17位 一風堂 104 106 +1.9
18位 ぎょうざの満州 101 102 +1.0
19位 どさん子ラーメン 97 93 -4.1
20位 一蘭 83 84 +1.2
21位 紅虎餃子房 74 75 +1.4
21位 神座 67 75 +11.9
21位 ずんどう屋 60 75 +25.0
24位 筑豊ラーメン 山小屋 82 74 -9.8
25位 味千拉麺 65 67 +3.1
25位 まこと屋 58 67 +15.5
27位 喜多方ラーメン坂内 63 64 +1.6
28位 歌志軒 73 63 -13.7
29位 てんがら 59 57 -3.4
30位 おおぎや 54 54 0

ランキングは当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


日本ソフト販売が提供する、全国のチェーン店舗データ(飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど)についての詳しいサービス情報は、こちらからご覧いただけます。


【年推移1】店舗数ランキング上位5チェーンの推移(2019~2023年、7月時点)

餃子の王将 ~中華料理レストラン 4年前と変わりなし~

当社の件数情報から経年でみると、2020年に5店増加したあと、2店減、プラスマイナスゼロ、3店減と推移した結果、2023年は2019年と同じ店舗数となりました。

運営会社は1967年創業の「株式会社王将フードサービス(京都市)」。ラーメンチェーンというより、餃子が看板商品の「中華料理レストランチェーン」です。
同社の2023年3月期の決算短信(連結)によると、売上高は前期比9.7%増の過去最高を記録。2024年3月期第1四半期の連結業績(2023年4月1日~6月30日)でも、前年同期比8.9%の売上高増と好調が続いています。コロナ禍からの本格的な回復に加え、昨年実施した値上げで客単価が上昇、客数も順調に増えたことが好業績に繋がっているようです。

当社データから2023年7月時点での都道府県別の展開をみると、大阪府の店舗数が161店と断トツで、兵庫県(75店)、東京都(66店)と続き、4番目に本拠地の京都府(47店)がきています。全国38都道府県に出店しており、青森・岩手・秋田・山形・福島・島根・宮崎・鹿児島・沖縄、が未進出の地域となっています。

ちなみに、同社の海外展開は台湾に2店で、今のところ国内店舗がほとんどです。


餃子の王将 店舗数年推移

リンガーハット ~長崎ちゃんぽんと言えば… 4年前に比べ 16.9%減~

当社の経年データをみると、2020年に前年より9店舗増えたあと、2021年に94店と大きく減少し、2022・2023年もそれぞれ11店・19店と減少しています。その結果、4年前に比べ 16.9%減となりました。

グループを束ねる「株式会社リンガーハット(長崎市)」がとんかつ(濱かつ)や長崎ちゃんぽん等の専門店チェーンを展開しており、長崎ちゃんぽん事業は子会社の「リンガーハットジャパン株式会社」が運営しています。
2021年の店舗数大幅減からコロナ禍の影響の大きさが窺えますが、株式会社リンガーハットの2023年2月期決算短信(連結)をみると、長崎ちゃんぽん事業の売上高は前年同期比12.0%増と順調に回復しています。

当社データから都道府県別の分布状況(2023年7月時点)をみると、全国44都道府県と広域に出店していることがわかります。最も店舗数が多いのは東京都(76店)で、次いで神奈川(66店)、福岡(61店)、埼玉(48店)、千葉(46店)と続きます。福岡以外は関東の都府県への出店の多さが目立ちます。
一方、福井・島根・高知の3県には店舗がなく、1~2店と少ない都道府県も東北・北陸・四国など13県みられます。

リンガーハットの海外店舗はタイとカンボジアに1店ずつで、餃子の王将と同様に国内での展開が主となっています。


リンガーハット 店舗数年推移

日高屋 ~首都圏を中心に展開 4年間で 3.0%増~

「日高屋」の店舗数を経年推移でみると、6店増、4店減、5店増、5店増と 2021年以外は増加基調で推移し、4年間で3.0%増となりました。

運営会社は「株式会社ハイデイ日高(さいたま市)」。1973年に中華料理「来々軒」を創業し、現在の主力業態である「日高屋」の展開を始めたのは2002年です。
コロナ禍の影響がなかった2020年2月期(2019年3月~2020年2月)を100%とした指数で同社全店売上の月推移を比較すると、2022年2月期(2021年3月~2022年2月)は47~80%程度に落ち込んでいたものの、2023年3月~7月(2024年2月期)は毎月100%を超え、7月には117.3%に達しています。つまり、今期はコロナ禍前を上回る売上が続いています(株式会社ハイデイ日高 ホームページ「2024年2月期7月度売上高速報」より)。

都道府県別出店状況(2023年7月時点)をみると、日高屋の出店地域は関東7都県に限られており、最も多いのは東京都の190店で、2番目が本拠地の埼玉(95店)、神奈川(66店)、千葉(50店)と続いています。これに対し 茨城は5店、栃木・群馬は各1店と少なく、関東でも首都圏への集中度が高くなっています。

ちなみに、今のところ(記事作成時点:2023年8月現在)海外には未進出とみられます。


日高屋 店舗数 年推移

幸楽苑 ~1954年創業のラーメン専門チェーン 4年間で 23.5%の大幅減~

幸楽苑の店舗数は、2020年に79店と大きく減少し、その後も8店減、12店減、19店減、と前年を下回って推移しています。結果、4年前に比べ、23.5%の大幅減となりました。

運営会社は、1954年創業の「株式会社幸楽苑ホールディングス(福島県郡山市)」。
同社の2023年3月期決算短信(連結)によると、ラーメン事業の売上高は前年同期比1.4%とわずかに増加。2023年4月1日~6月30日の四半期報告では前年同期比0.6%の微減となり、ラーメン大手他社と比べると、コロナ禍からの回復の遅れが目立っています。

都道府県別分布状況(2023年7月時点)をみると、17の都県で展開しており、最も多いのは本拠地の福島県(55店)です。次いで隣県の宮城が43店、千葉県(41店)、埼玉(38店)、茨城(37店)と続きます。東北・関東を主なエリアとし、その他の出店地域は中部でも東寄りの新潟・山梨・長野・静岡 となっています。愛知県以西には未進出です。

同社の海外出店としては、タイで7店舗を展開しています。


幸楽苑 店舗数 年推移

大阪王将 ~餃子専門店からスタート 4年間で 0.9%の微減~

当社の経年データから4年間の経年推移をみると、6店増、7店増、2店増と増加基調で推移したあと、2023年に18店の減少に転じたため、4年間では 0.9%の微減となりました。

運営会社は「株式会社大阪王将(大阪府枚方市)」。1969年に大阪の京橋で1号店が開店しました。2020年に持株会社体制へと移行し、株式会社イートアンドホールディングスがグループを統括しています。
同ホールディングスの2023年2月期決算短信(連結)によると、グループ全体の売上高は前年同期比7.0%増加と順調に増加。2024年2月期第1四半期(2023年3月1日~5月31日)決算短信でも、前年同期比7.7%増となっています。

都道府県別出店状況(2023年7月時点)をみると、最も店舗が多いのはやはり大阪府(88店)で、東京都(60店)が2番目、3番目の兵庫県(20店)からガタンと少なくなっています。全国42都道府県と広域に展開しているものの、半数の県は1~3店の店舗数に止まっており、山形・栃木・山梨・岐阜・三重の5県は店舗のない地域です。

「大阪王将」の海外店舗としては、台湾やシンガポール、タイ、中国で 18店舗を展開しています。


大阪王将 店舗数 年推移

【年推移2】店舗数の伸びが大きいチェーンの推移(2019~2023年、7月時点)

丸源ラーメン ~41都道府県で展開 4年前と比べ 42.0%の大幅増~

当社がもつ経年情報を辿ると、2020年から2022年にかけて毎年15店舗ずつ増加し、2023年も13店舗増えて、4年間で42.0%の大幅増となりました。

運営会社は「焼肉きんぐ」など多数の外食チェーンを手掛ける「株式会社物語コーポレーション(愛知県豊橋市)」。「丸源ラーメン」は 2001年にラーメンの新業態としてオープンしました。
同社の2023年6月期決算短信(連結)によると、ラーメン部門の売上高(直営店)は前期比36.2%増と大きく増加しており、力強い店舗数の伸びを裏付けるデータとなっています。

中堅規模のラーメンチェーンとしては全国41都道府県(2023年7月時点)と広域に展開しており、最も店舗が多いのは本拠地の愛知県(26店)で、次いで大阪府(20店)、埼玉県(14店)、東京都(12店)、神奈川県(11店)、の順。青森・岩手・秋田・山形の東北地方と新潟、徳島は未進出地域となっています。

物語コーポレーションの他業態での海外進出はあるものの、「丸源ラーメン」に関しては2023年8月現在(記事作成時点)まだないようです。


丸源ラーメン 店舗数 年推移

田所商店 ~味噌らーめん専門店 4年間で 48.6%の大幅増~

田所商店の店舗数も、11店、14店、21店、7店 と毎年増加し続け、4年間で48.6%の大幅増となりました。

運営会社は、2003年設立の「株式会社トライ・インターナショナル(本社:千葉・東京)」。「全国各地のこだわり味噌が選べる 味噌らーめん専門店」が同チェーン最大の特徴です。

当社データから2023年7月現在の都道府県別出店状況をみると、最も店舗数が多いのは本拠地の千葉県(30店)で、2番目が埼玉県(16店)、1店差で愛知県(15店)、茨城・神奈川(各9店)、東京都(8店)、と続きます。36都道府県に展開しているものの、過半数の県では3店以下の出店数となっています。
なお 未進出地域は、東北(青森・秋田・山形)、北陸(新潟・富山・石川)、四国(徳島・高知)と、栃木・和歌山・大分県、です。

同社は味噌を通じて世界に「健康」を広めていくことを使命としており、カナダ、アメリカ、ブラジル、イタリア、タイに 計11店(2023年7月末現在)を展開しています。


田所商店 店舗数 年推移

町田商店 ~横浜家系ラーメン 4年前に比べ 店舗数が2倍以上に~

4年間の経年推移をみると、9店増、32店増、9店増、15店増 と毎年前年を上回り、4年前に比べて店舗数が2倍以上(104.8%増)になっています。今回取り上げたチェーンの中で最も高い伸び率です。

運営会社は「株式会社ギフトホールディングス」。2008年「横浜家系ラーメン町田商店」1号店を東京都町田市に個人事業として創業したのが始まりです。
同社の「2023年10月期7月度 直営店売上速報」で 2022年11月~2023年7月の既存店売上高(直営店)をみると、前年同月比平均で17.6%増加しています。客数も11.8%増、客単価も5.1%増と上昇しています。

都道府県別分布状況をみると、2023年7月時点で20都府県に展開しており、本拠地・東京都に35店と最も多く出店しています。2番目が神奈川県(19店)、3番目が愛知県(18店)、埼玉県(8店舗)、大阪府(7店)、と続きます。
未進出地域は、九州全県と沖縄、北海道と東北2県(青森・秋田)、北陸3県(富山・石川・福井)、中国地方(鳥取・島根・広島・山口)、四国(徳島・香川・高知)、などです。

同グループの海外店舗は、直営店・3店、プロデュース店・18店、FC店・1店 を展開しています(2023年7月10現在)。


町田商店 店舗数 年推移

神座 ~どうとんぼり神座(かむくら) 4年間で 63.0%と急増~

当社のデータから経年変化の状況をみると、「2020年に2店増加、翌年は2店減」と足踏みしたものの、2022年に21店と大きく増加し、2023年も8店増と着実に増やしています。その結果、4年間で63.0%増となりました。

運営会社は「株式会社どうとんぼり神座(大阪市)」。同社ホームページによると、フレンチレストランのオーナーシェフであった創業者が「老若男女誰もが毎日食べたくなる味」を1年半かけて追求し、1986年に創業した、とのこと。
「株式会社理想実業」が製麺・プロディース会社等のグループ経営をしており、「どうとんぼり神座」はその中核企業(ブランド)です。

都道府県別出店状況(2023年7月時点)をみると、出店地域は9都府県で、本拠地の大阪府が33店と最も多く、東京都が14店、兵庫・奈良が各7店、京都(6店)、和歌山(3店)、千葉・神奈川(各2店)、埼玉(1店)。近畿地方と首都圏がエリアとなっています。

ちなみに「どうとんぼり神座」の海外展開は、ハワイに1店です。


神座 店舗数 年推移

ずんどう屋 ~姫路発濃厚豚骨らーめん 4年間で 56.3%と大きく増加~

当社の件数情報を元に4年間の推移をみると、2020・2021年は店舗数が前年と変わらず、2022年に一挙に12店増加し、2023年は15店増とさらに増えています。4年間の増加率は56.3%増となりました。「神座」と同様に2022・2023年の伸びが大きいパターンです。

運営会社は「株式会社ZUND(大阪本部:大阪市)」。2002年、兵庫県姫路市で「ラー麺ずんどう屋」が誕生しました。「じっくり炊き出したとんこつだしをベースに背脂を加えた濃厚スープ」が特徴。「丸亀製麺」などを展開する「株式会社トリドールホールディングス」が2017年にZUND社を買収し、グループ傘下に入っています。

都道府県別分布状況(2023年7月現在)をみると、12の都府県に進出しており、本部がある大阪府が25店と最も多く、2番目が発祥の地・兵庫県(22店)となっています。以降はまだひとケタの店舗数で、京都・岡山(各6店)、滋賀(5店)、奈良・和歌山・鳥取・広島(各2店)、東京・神奈川・島根(各1店)。近畿地方と周辺の中国地方、および首都圏が進出エリアとなっています。

ちなみに、2023年8月現在(記事作成時点)「ずんどう屋」の海外店舗は確認できません。


ずんどう屋 店舗数 年推移

まこと屋 ~近畿圏中心も、海外進出には積極姿勢 4年間で店舗倍増~

当社の件数情報を元に4年間の推移をみると、「2020年 2店増加、2021年 2店減少」と足踏みしたのち、2022年に一気に25店増え、2023年も9店舗増加。「まこと屋」も2022・2023年の伸びが大きいパターンです。この結果4年間で103%増の店舗数倍増となりました。

運営会社は、1999年に1号店を開店してスタートした「株式会社マコトフードサービス(大阪市)」。牛骨醤油と小麦の風味にこだわった細麺、鶏ガラ醤油と多加水熟成玉子麺の組み合わせなどを特徴としています。ホームページには「2025年 100店舗、2030年 200店舗・100億」の目標が掲げられ、同チェーンの勢いが感じられます。

都道府県別分布状況(2023年7月現在)をみると、14の府県で店舗展開しており、最も多いのは本拠地の大阪府(23店)で、次いで隣の兵庫県(13店)となっています。3番目以降は、愛知県(7店)、滋賀・奈良(各5店)、岐阜・京都(各3店)、三重(2店)、埼玉・神奈川・和歌山・徳島・福岡・沖縄に各1店と、これまでは近畿圏中心の出店となっています。

「まこと屋」は2018年以降、マカオや台湾、スリランカ、ウィーンなど海外に8店舗を展開しています。


まこと屋 店舗数 年推移

【まとめ】「食材・エネルギー高騰、人件費増」の環境下で好調なチェーンとは?

ラーメンチェーンの売上高や来客数は、コロナ禍からの本格的な人流回復等で 軒並み前年を上回る状況となっています。しかし「前年同期を上回る水準」「コロナ禍前の水準」「コロナ禍を上回る水準」と、その内容によって温度差が生じています。 また、昨今の「食材・エネルギー高騰、人件費増」の影響で、売上高は伸びているものの 利益は減少または伸び悩み傾向にあります。それは、ラーメンはもとより、飲食業界全体の悩みとなっています。

このように、昨今ラーメン業界が置かれた厳しい環境下で業績や店舗数が伸びているチェーン とは、どのようなチェーンでしょうか。考えられる条件をあげてみました。


1.値上げしても客数が伸びており、客単価が上がっている


ラーメンのイメージは、高くても800~900円で食べられる「庶民の味」。特に大手チェーンは低価格路線を武器に拡大してきたところも多く、それが昨今の環境下における苦戦の一因になっているともみられています。
そんな大手も、ここ1~2年の間に値上げに踏み切っているチェーンがほとんどです。それでも、値上げによる客数減や食材費等コスト上昇分よりも コロナ禍からの回復状況の方が上回っているチェーンは、業績が順調に上向いています。


2.コロナ禍でも影響が比較的少なかった


コロナ禍の最中にもかかわらず、店舗数も売上高も順調に伸ばしていたチェーンが 中にはあります。そんなチェーンはコロナ後の伸びも一段と大きいようです。
たとえば、店舗数ランキング14位の「町田商店」は、2020年10月期、2021年10月期といった、飲食店全般がコロナの影響を強く受けた時期でも、前年同期比20%以上の高い売上高成長率を弾き出しています。
また、ランキング11位の「山岡家」も、コロナ禍の2021年1月期(1.1%増)、2022年1月期(6.0%増)ともに売上高で前年同期比増加をキープし、2023年1月期に23.5%増と大きく盛り返しています。同チェーンは24時間営業で大型の駐車場を備えた郊外店を展開しており、トラックドライバーを中心にリピーターの取り込みに成功しているといわれています。当社の経年データで店舗数の推移をみても、2020年に8店増、2021年 6店増、2022年 7店増、2023年 6店増、と着実に増やしています。


3.海外事業が好調


年推移の項でチェーン毎の「海外展開」の状況に触れていますが、ラーメンの海外人気は高く、国内ではあまり見たことがないような高価格でも売れているようです。これまで海外展開を積極的に進め かつ高価格のブランド品として受け入れられているようなチェーンは、このところ高収益な事業展開ができているというわけです。
たとえば、ランキング17位の「一風堂」は海外展開に積極的なチェーンで、運営会社「力の源ホールディングス」の2024年3月期 第1四半期決算短信によると、期間末の海外店舗数は153店にのぼります。
もっとも、今は業績への寄与が大きいとはいえ、コロナ禍中はロックダウン等で多大な影響を受けているため、海外事業はさまざまな事情の影響を受けやすい難しい分野であることも確かです。



庶民の味として親しまれ、不況にも強いといわれてきたラーメン業界ですが、デフレ下の発想に基づく経営では成り立ちにくい状況になってきています。ほかの業種も含め、今 飲食業界は大きな転換期を迎えています。


本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


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