【2022年版】ラーメンチェーンの店舗数ランキング
2022年9月19日 | 業界・地域分析
2020年度はコロナ禍でダメージを受けたものの、2022年に入ってからの大手チェーンの決算発表では、増収や増収見込みが目立ってきたラーメン業界。そんなラーメンチェーンの店舗数はどうなっているのでしょうか。
今回は当社のチェーン店データを元に、1年間(2021年7月~2022年7月)におけるラーメンチェーン(※)店舗数の推移やチェーンの店舗数ランキング、前年同月と比較した増減状況を集計。さらに増加率が高いラーメンチェーンについて掘り下げてみました。
※当社のチェーン店データでは、「ラーメン・餃子」ジャンルとして集計しています。
データの集計方法について
- 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
- 2022年7月時点で、国内に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
- 当社のチェーン店データ調査・収集は毎月を基本としていますが、隔月など定期収集のチェーンもあります。表・グラフの対象月に収集がなかったチェーンの場合、当月時点で最新のデータを記載しています。
- 店舗数の増減率(%)は、2022年7月と2021年7月の対比で算出しています(小数点3位以下は四捨五入)。
ラーメンチェーン 店舗数推移(2021年7月~2022年7月)
↑0.04% 減少と上昇を繰り返した結果、前年同月比は横ばいに
2021年7月~2022年7月のラーメンチェーン全体の店舗数推移をみると、2021年8月に一旦減少した後、翌9月から2022年1月にかけて毎月少しずつ増加しています。しかし、2・3月は一転、合わせて約50店減少しました。その後4~6月はまた増加に転じたたため、2022年7月と2021年7月の前年同月比は、0.04%増の「ほぼ横ばい」となりました。
【表-1】店舗数の前年同月比増減率
業種 | 2021年7月 | 2022年7月 | 増減率(%) |
---|---|---|---|
ラーメン・餃子 | 7,431 | 7,434 | +0.04 |
【ランキング】上位の増減は総じて小幅 11~30位はチェーン間の明暗くっきり
チェーン別ランキングを7月の前年同月比でみると、1位の「餃子の王将」はプラスマイナスゼロで1年前と同数となっており、2位「リンガーハット(1.84%減)」と3位「幸楽苑(2.88%減)」は小幅ながら減少しています。そのほかの上位チェーンでは、8位の「天下一品」がやや減少した以外は横ばいまたは若干増のチェーンが多くなっています。
10位以内のチェーンは、増加・減少どちらにしてもほとんどが0~2%台程度の小幅な動きに止まっており、唯一高い店舗数の伸びを示しているのは10位の「丸源ラーメン(8.93%増)」です。
11~30位では、12位「田所商店」や14位「魁力屋」など2ケタ台の高い増加率のチェーンが5つも登場する一方、1年前に比べて減少したチェーンが半数に及んでおり、チェーン間の明暗がより鮮明に表れています。減少幅は1~3%程度のところが多いものの、8~10%近い減少となったチェーンもみられます。
【表-2】チェーン別 店舗数ランキング
順位 | チェーン名 | 2021年7月 | 2022年7月 | 増減率(%) |
---|---|---|---|---|
1位 | 餃子の王将 | 734 | 734 | 0 |
2位 | リンガーハット | 597 | 586 | -1.84 |
3位 | 幸楽苑 | 416 | 404 | -2.88 |
4位 | 日高屋 | 398 | 403 | +1.26 |
5位 | 大阪王将 | 357 | 359 | +0.56 |
6位 | Sugakiya | 257 | 257 | 0 |
7位 | 来来亭 | 245 | 250 | +2.04 |
8位 | 天下一品 | 233 | 229 | -1.72 |
9位 | らあめん花月 | 196 | 199 | +1.53 |
10位 | 丸源ラーメン | 168 | 183 | +8.93 |
11位 | 山岡家 | 161 | 168 | +4.35 |
12位 | 田所商店 | 134 | 155 | +15.67 |
13位 | くるまや | 151 | 148 | -1.99 |
14位 | 魁力屋 | 107 | 121 | +13.08 |
15位 | 8番らーめん | 118 | 116 | -1.69 |
16位 | 横浜家系(町田商店) | 103 | 112 | +8.74 |
17位 | 一風堂 | 103 | 104 | +0.97 |
18位 | ぎょうざの満州 | 99 | 101 | +2.02 |
19位 | どさん子ラーメン | 101 | 97 | -3.96 |
20位 | 一蘭 | 84 | 83 | -1.19 |
21位 | 筑豊ラーメン 山小屋 | 85 | 82 | -3.53 |
22位 | 紅虎餃子房 | 76 | 74 | -2.63 |
23位 | 歌志軒 | 67 | 73 | +8.96 |
24位 | 神座 | 58 | 67 | +15.52 |
25位 | 味千拉麺 | 72 | 65 | -9.72 |
26位 | 喜多方ラーメン坂内 | 65 | 63 | -3.08 |
27位 | ずんどう屋 | 45 | 60 | +33.33 |
28位 | てんがら | 64 | 59 | -7.81 |
29位 | まこと屋 | 44 | 58 | +31.82 |
30位 | おおぎや | 55 | 54 | -1.82 |
店舗数が増えているチェーンには、どんな特徴がある?
店舗数ランキングでは、上位チェーンは増減の動きが比較的小さく、10位以降のチェーンで増加率の高いチェーンが多くみられました。そこで、30店舗以上を展開するチェーンを対象に、増加率が高い(8%以上)ラーメンチェーンを【表-3】にまとめてみました。
【表-3】増加率が高いラーメンチェーン(店舗数30店以上)
チェーン名 | 2021年7月(店) | 2022年7月(店) | 増加率(%) | 特徴 等(※) |
---|---|---|---|---|
ずんどう屋 | 45 | 60 | 33.33 | 姫路発祥濃厚豚骨らーめん 自家製麵 |
まこと屋 | 44 | 58 | 31.82 | 牛骨醤油、鶏ガラ醤油 小麦の風味を感じる細ストレート麺 |
魂心家 | 30 | 38 | 26.67 | 横浜家系、濃まろ豚骨スープ、特注中太麺 |
東京油組総本店 | 34 | 43 | 26.47 | 油そば、特製の秘伝ダレ、自家製麵 |
田所商店 | 134 | 155 | 15.67 | 全国各地のこだわり味噌が選べる「味噌らーめん専門店」 |
神座 | 58 | 67 | 15.52 | スープ・ソムリエ制度 自家製麵 |
舎鈴 | 35 | 40 | 14.29 | 毎日食べられる美味しいつけめん |
魁力屋 | 107 | 121 | 13.08 | 特製醤油ラーメン、特製の低加水麺 |
タンタンメン本舗 | 42 | 46 | 9.52 | 元祖ニュータンタンメン 自社製麺 |
歌志軒 | 67 | 73 | 8.96 | 油そば、トッピングの楽しさ、自家製麺 |
丸源ラーメン | 168 | 183 | 8.93 | 熟成醤油ラーメン 肉そば、コシのある多加水麺 |
横浜家系(町田商店) | 103 | 112 | 8.74 | 横浜家系、豚骨醤油ベース 自家製麺 |
※各チェーンのホームページ上の情報から記載しています。
30店舗以上を展開する51チェーンのうち、前年同月比8%以上の伸びをみせたのは12チェーンです(当社集計、2022年7月時点)。
このうち、最も高い増加率を弾き出したのは『姫路発祥濃厚豚骨らーめん』の「ずんどう屋(33.33%増)」。『牛骨醤油、鶏ガラ醤油』の「まこと屋」も30%を超える大幅増となっています。横浜家系の「魂心家」と油そばの「東京油組総本店」も、26%を超える大きな伸びを示しています。
そのほか店舗数が増えているのは、「味噌らーめん」の専門店や「スープ・ソムリエ制度」を設けてスープにこだわるチェーン、坦々麺をアレンジした「ニュータンタンメン」、「つけめん」、「肉そば」など、個性豊かな面々が並んでいます。「横浜家系」と「油そば」は、12チェーン中に2軒ずつ入っています。
これら増加率の高いチェーン店では速いペースの出店が目立ち、「2022年6~8月に8店新規オープン」「7月だけで5店」など、現在進行形で店舗数の数値が変化しているチェーンが多くみられます。
またこの中には、近年増えているといわれる「自家製麺」を導入するチェーンも多く、約半数はホームページ上などに明記しています。そのほか「特注」を謳うチェーンもみられるなど、「スープと麺へのこだわり」は繁盛店の常識となっているようです。
「店舗数が増えているチェーン」の特徴・傾向として明確なものはありませんが、上記12チェーンを見る限り、「個性がある(こだわりが強い)」や「ラーメンに特化した運営会社が多い」、「醤油系が比較的多い」、「汁なしがやや多い」、などが現状で目に付く点となっています。
「不況に強い」という定評があり、コロナ禍でも他業態に比べ「順調」とみられているラーメン業界。しかし、店舗数の増減率を見る限り全体が順調というわけではなく、この1年の間にも「伸び盛り」「現状維持」「やや後退」と色分けされつつあることが窺えます。小麦粉の高騰をはじめ原材料や包装資材、動力費などが上昇する中、ますます各チェーンの手腕が試される局面を迎えています。
本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています
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