【2024年版】ホームセンターの店舗数ランキング
2024年5月15日 | 業界・地域分析
2019年以前の頭打ち状態 → コロナ特需 → 反動減・・・といった経緯を辿ってきた近年のホームセンター業界。完全に人流が回復した 2023年の店舗数は どのような動きをみせていたのでしょうか。
2024年版(2023年1月~2024年1月)では、当社のチェーン店データを元に、ホームセンター(※1)店舗数の月別推移やチェーン別店舗数ランキング、前年同月比増減状況など、過去記事(2021年版、2022年版、2023年版 ※2)との比較も交えて振り返ります。
※1 作業衣料、工具 等、関連する専門業態のチェーンも含まれています。
※2 2023年版は、2月時点のデータ。
データの集計方法について
- 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
- 2024年1月時点で、国内に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
- 当社のチェーン店データ調査・収集は毎月を基本としていますが、隔月など定期収集のチェーンもあります。表・グラフの対象月に収集がなかったチェーンの場合、当月時点で最新のデータを記載しています。
- 店舗数の増減率(%)は、2024年1月と2023年1月の対比で算出しています(小数点2位以下は四捨五入)。
【月別推移】ホームセンター 店舗数(全体、2023年1月~2024年1月)
↑6.1% 過去4年で最も高い増加率
ホームセンター全体の1年間(2023年1月~2024年1月)の店舗数推移をみると、2023年6・9月のふた月以外は、前月を上回って推移しています。
増えた月のほとんどは数店から20店程度の増加ですが、2023年3月のみ、前の月より247店舗増と目立って増えています。ただし、このうちのほとんどは「DCM」の増加分であるため、DCMグループで進められた「7つのブランド(※1)のDCMブランドへの統合」が急増の理由であるとみられます。
こうした特殊事情によって全体の増加率が押し上げられたこともあり、2024年1月と2023年1月を比較した前年同月比は 6.1%増の高い伸びとなりました。
当社の集計を遡ると、2021年版の前年同月比は 2.4%増、2022年版が 1.9%増、2023年版 2.7%増(※2)、そして今回が 6.1%増。ホームセンター店舗数は、4年連続の前年比増となりました。
※1 「ホームセンター DCMホーマック」「ホームセンター ダイキ」「DCMカーマ、DCMカーマ21、カーマアットホーム」「DCMくろがねや」「DCMサンワ」
※2 2023年版は、2月時点のデータ。
店舗数の前年同月比増減率
業種 | 2023年1月 | 2024年1月 | 増減率(%) |
---|---|---|---|
ホームセンター | 5,496 | 5,833 | +6.1 |
【2024年版】ホームセンター 店舗数ランキング
チェーン別店舗数ランキングを1月の前年同月比でみると、上位30チェーンのうちうち 増加しているチェーンが 14チェーンで、減少は 7チェーン。プラスマイナスゼロが 9チェーンとなっています。
大幅増の「Plus」「女子」、 大幅減の「ワークマン」
最も高い増加率は、ランキング3位「DCM」の107.3%(263店舗)増。ただし、これは【月別推移】の項でも触れたとおり、DCMグループで「7つのブランドのDCMブランドへの統合」が進められたことによるもので、急増といっても例外的な事例です。
「DCM」以外でみると、最も増加率が高いのは「ワークマン女子(72.0%・18店舗増)」で、2番目が「WORKMAN Plus(16.1%・76店舗増)」のワークマン 2ブランド。一方で 本体といえる作業服・関連用品専門店「ワークマン」は最も減少率が大きいチェーン(15.4%・74店舗減)となっています。この対照的な結果から、運営会社の「一般向けのアウトドア・スポーツ・レインウエア分野を拡充する」方針が垣間見えます。
これにより、2023年1月時点では まだ「ワークマン」の店舗数が「WORKMAN Plus」を若干上回っていたものの、2024年1月は「WORKMAN Plus」が「ワークマン」を抜いて大差をつけ、ランキング2位に浮上しています。
プロ向け業態店の増加・拡充傾向つづく
また、ワークマン以外で前年比増加率が高いのは、「建デポ(12.3%増)」「コーナンPRO(11.2%増)」「プロショップホダカ(10.7%増)」の順で、プロ向け業態ばかりが並んでいます。
その他のホームセンターでは、ほぼ横ばいから2~3%の増加が多く、最も高い伸び率でも「ホームセンターコーナン」の6.5%増に止まっています。こうしたことから、2021年版にはすでに始まっていた「プロ向け業態店の拡充傾向」が、まだまだ続いていることがわかります。
ランキング圏外(31位以降)のチェーンは・・・
31位以降には10店舗以上を展開するチェーンが「31(※)」あり、この内 8チェーンが前年に比べて増加、5チェーンは減少、18チェーンがプラスマイナスゼロとなっています。つまり、約 6割のチェーンは「現状維持」の状態です。
※日本ソフト販売 調べ(2024年1月時点)。すべてのホームセンターを網羅したものではありません。
チェーン別 店舗数ランキング
順位 | チェーン名 | 2023年1月 | 2024年1月 | 増減率(%) |
---|---|---|---|---|
1位 | コメリ | 1,363 | 1,352 | -0.8 |
2位 | WORKMAN Plus | 472 | 548 | +16.1 |
3位 | DCM | 245 | 508 | +107.3 |
4位 | ワークマン | 480 | 406 | -15.4 |
5位 | ホームプラザナフコ | 346 | 344 | -0.6 |
6位 | ホームセンターコーナン | 279 | 297 | +6.5 |
7位 | カインズ | 242 | 249 | +2.9 |
8位 | アストロプロダクツ | 198 | 199 | +0.5 |
9位 | ホームセンター ケーヨーD2 | 164 | 164 | 0 |
10位 | コーナンPRO | 116 | 129 | +11.2 |
11位 | ジュンテンドー | 126 | 127 | +0.8 |
12位 | DCMニコット | 112 | 111 | -0.9 |
13位 | 建デポ | 73 | 82 | +12.3 |
14位 | サンデー | 72 | 72 | 0 |
15位 | ダイユーエイト | 70 | 70 | 0 |
16位 | ホームセンターグッデイ | 64 | 63 | -1.6 |
17位 | ホームセンター スーパービバホーム | 63 | 62 | -1.6 |
17位 | プロショップホダカ | 56 | 62 | +10.7 |
19位 | プロノ | 51 | 53 | +3.9 |
20位 | ロイヤルホームセンター | 49 | 49 | 0 |
21位 | ひらせいホームセンター | 44 | 44 | 0 |
22位 | ホームセンタームサシ | 42 | 43 | +2.4 |
22位 | コーナンホームストック | 43 | 43 | 0 |
22位 | ワークマン女子 | 25 | 43 | +72.0 |
25位 | ホームセンター ビバホーム | 44 | 42 | -4.5 |
26位 | 島忠(HOMES島忠) | 39 | 40 | +2.6 |
27位 | ニシムタ | 38 | 39 | +2.6 |
28位 | ホームセンターバロー | 35 | 35 | 0 |
29位 | ホームワイド | 30 | 30 | 0 |
30位 | ホームセンター&家具・インテリア 山新 | 26 | 26 | 0 |
ランキングは当社のチェーン店舗データをもとに作成しています
日本ソフト販売が提供する、全国のチェーン店舗データ(飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど)についての詳しいサービス情報は、こちらからご覧いただけます。
【まとめ】「売り上げ伸び悩み」と「減益」の2023年
大手・中堅ホームセンター運営会社の 2023年中に関する業績発表(2024年2月期・2024年3月期第3四半期 決算短信等、計12社分)を調べたところ、売上高・利益(営業利益・純利益)ともに増加の「増収増益」は コーナン商事(2024年2月期[連結])の 1社のみ。ほとんどの企業が減益(増収減益:3社、減収減益:8社)という結果で、「増収増益」が目立ったドラッグストアとは対照的な状況となっています。
しかも、売上高(営業収益)の増減幅が全体的に小さい一方で、利益の減少幅は二ケタ台の大きな落ち込みが多くみられます。このことから 2023年のホームセンター業界は、「原材料(仕入価格)・物流費・人件費等 コスト上昇」という他業界にも共通する利益率低下要因に加え、「売り上げの伸び悩み」が大きな減収幅となって表れたようです。
各社決算短信の中で、売り上げ低迷・利益率悪化の要因として多くの企業が挙げているのは、「夏場の猛暑や暖冬による園芸用品・季節商品の不調」「物価上昇等に起因する消費者の節約志向」「業界の垣根を超えた競争激化」など。また、コロナ禍で一気に盛り上がったキャンプブームが落ち着いたことも、キャンプ用品や関連衣料等を扱うホームセンターにとってはマイナス要因となりました。
また、ひとつ ブランドが消える・・・
そんな中 この4月(2024年)に飛び込んできたのが、DCMホールディングス(HD)傘下の「DCM株式会社」による「株式会社ケーヨー」の吸収合併のニュースです。ケーヨーはDCMの持ち分法適用会社でしたが、TOB(株式公開買い付け)実施によって 2024年1月に完全子会社化されました。さらに、2024年9月(予定)の吸収合併後は「ケーヨーデイツー(店舗数ランキング9位)」の店名が「DCM」に置き換わるため、ランキング表からまたひとつブランドが消えることになります。
この TOB実施とほぼ同時に、イオンによる DCMホールディングス株取得のニュースも伝えられました。イオンはケーヨーとDCMともに資本提携を結んでいましたが、DCMのTOBに応募してケーヨー株を売却し、その資金で約46億円分のDCM株を追加取得。DCMの第3位の株主に浮上しました。
こうした流通大手の動きが ホームセンターの、あるい業界の垣根を超えた大再編の呼び水となるのか、今後の動向が気になるところです。
本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています
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