【2021年版】ホームセンターの店舗数ランキング

2021年6月7日 | 業界・地域分析

ホームセンター店舗数ランキング

日用品をはじめ、DIY・園芸・ペット・アウトドア用品など、ホームセンターは「コロナ特需」による好調が伝えられる業界の一つです。
今回は、当社のチェーン店データを元に、2020年1月以降のホームセンターの店舗数推移やチェーン別ランキング、コロナ禍影響以前と以後の前年同月比(1月)増減状況、などを集計しました。
また、コロナ禍以前は「市場規模が頭打ちとなる一方で店舗数が増加する」状況が続いていた同業界の、店舗数の年推移(2018~2021年)を4月時点の件数で比較してみました。


データの集計方法について

  • 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
  • 全国に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
  • 店舗数の増減率(%)は、2021年1月と2020年1月の対比で算出しています(小数点2位以下は四捨五入)。

ホームセンター 店舗数推移

↑2.4% ひと月の例外もなく店舗数が増加し続けた2020年


2020年のホームセンター店舗数は、年初からジワジワと増えていき、2020年1月と2021年1月を比較すると約130店、2.4%の増加となりました。増加率としてはそれほど高くないものの、当ブログでこれまで集計した業界の中で1年を通してひと月の例外もなく店舗数が増え続けたのはホームセンターのみです。
2021年に入ってからは、2月に若干減少したものの3月に再び増加に転じ、最新データの4月(記事作成時点)も引き続き増加しています。


ホームセンター店舗数推移

件数の前年同月比増減率

業種 2020年1月 2021年1月 増減率(%)
ホームセンター 5,347 5,478 +2.4

「プロ向け」業態、大規模店舗の出店に顕著な増加

チェーン別ランキングをみると、30チェーン中、前年同月比増減率プラスのチェーンが12、プラスマイナスゼロの現状維持は10チェーン。マイナスとなった8チェーンも、件数にすると1~3店程度の減少に止まっており、コロナ禍でホームセンターに追い風が吹いたことを店舗数の面からも証明する結果となりました。

増加率で特に目立っているのは「コーナンPRO」の27.6%増と、「ビバホーム」の14.3%増です。
「コーナンPRO」は、4位にランクインしている「ホームセンターコーナン」を経営するコーナン商事のプロ向けの業態ブランドで、建設資材等の専門的な品揃えを早朝からの開店で販売するのが特徴です。近年ホームセンター各社が力を入れている分野ですが、特にコーナンは出店を急いでいるようです。
一方、14.3%の高い伸びをみせたランキング18位のビバホームは、LIXILビバが「ホームセンター スーパービバホーム」のブランドで展開する店舗です。21位の「ホームセンター ビバホーム」は若干店舗数が減少していることから、標準的な店舗より大規模な業態の出店に力を入れている様子が窺えます。


チェーン店別件数ランキング

順位 チェーン名 2020年1月 2021年1月 増減率(%)
1位 コメリ 1,288 1,307 +1.5
2位 ワークマン 860 903 +5.0
3位 ナフコ 345 347 +0.6
4位 ホームセンターコーナン 234 253 +8.1
5位 カインズ 229 233 +1.7
6位 ホームセンター DCMホーマック 187 189 +1.1
7位 アストロプロダクツ 187 186 -0.5
8位 ホームセンター ケーヨーD2 173 170 -1.7
9位 ホームセンター ダイキ 154 152 -1.3
10位 ジュンテンドー 127 127 0
11位 DCMカーマ 106 106 0
11位 ホームコンビニ ホーマックニコット 104 106 +1.9
13位 コーナンPRO 76 97 +27.6
14位 サンデー 71 73 +2.8
15位 ダイユーエイト 71 70 -1.4
16位 建デポ 66 66 0
17位 ホームセンターグッデイ 65 65 0
18位 ビバホーム(スーパービバホーム) 49 56 +14.3
19位 ロイヤルホームセンター 50 50 0
19位 コーナンホームストック 50 50 0
21位 ビバホーム※1 48 46 -4.2
22位 ひらせいホームセンター 45 44 -2.2
23位 ホームセンタームサシ 42 42 0
24位 島忠 36 38 +5.6
25位 ニシムタ 39 37 -5.1
26位 ホームセンターバロー 33 33 0
27位 DCMカーマ(プロショップホダカ)※2 29 31 +6.9
28位 ホームワイド 30 29 -3.3
29位 ホームセンター イエローグローブ 26 26 0
29位 ホームセンター&家具・インテリア 山新 26 26 0

※1 18位の「ビバホーム」と同一企業のチェーンですが、業態ブランドが異なるため別集計となっています。

※2 11位の「DCMカーマ」と同一企業のチェーンですが、業態ブランドが異なるため別集計となっています。

コロナ禍以前の市場停滞期にも続いていた、店舗数の増加

コロナ禍以前のホームセンター業界は、長期にわたって市場規模の伸び悩みが続いていました。実際、商業動態統計調査(経済産業省)でホームセンター商品販売額の年推移をみると、2016年にわずかに前年を上回って以降は2019年まで3年連続で減少しています。いずれも零コンマ以下のわずかな増減幅のため、まさしく「頭打ち」の市場であったといえます。

一方、当社のチェーン店データでここ4年(2018~2021年)の4月時点の店舗数を比較してみると、年々増加を続けており、2021年4月は2018年4月に比べで500店近く増加しています。つまり、売り上げが頭打ち状態のときでも、店舗数は一貫して増えていたというわけです。こうした状況からホームセンターの多くは、長らく1店舗当たりの売り上げや利益率低下に悩まされていました。

しかし、コロナ禍により状況が一変。2020年のホームセンター商品販売額(商業動態統計調査)は、3兆4,963億5,200万円で、前年対比6.77%増。日用品をはじめDIY、園芸、ペット、キャンプ・アウトドア用品など、ホームセンターの得意分野の需要がにわかに盛り上がり、頭打ちだった市場規模が膨らみました。

4月時点における店舗数比較(2018~2021年)

年月 店舗数(店) 対前年増減率(%)
2018年4月 5,038
2019年4月 5,133 +1.9
2020年4月 5,377 +4.8
2021年4月 5,516 +2.6

【参考データ】ホームセンター商品別販売額 年推移※

商品別販売額(百万円) 対前年増減率(%)
2015年 3,301,241
2016年 3,309,046 +0.24
2017年 3,294,173 -0.45
2018年 3,285,308 -0.27
2019年 3,274,756 -0.32
2020年 3,496,352 +6.77

※出典:経済産業省 商業動態統計調査 ホームセンター商品別販売額等及び前年(度、同期、同月)比
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/result-2/index.html
対前年増減率は日本ソフト販売株式会社で算出(小数点3位以下は四捨五入)

繰り広げられる経営体質強化・差別化戦略
~M&A、PB開発、プロ向け・アウトドア専門店出店など~

コロナ禍で「停滞していた業界が思いがけず浮上」する形になったホームセンター業界。新しい生活様式が定着しこの先も好調を維持できるかどうかは、コロナ禍がまだ続いていることもあり、現時点では未知数といえます。
同業界では、他の小売業同様に近年M&Aによる再編の動きが活発化しています。大手企業による中堅・中小の統合はもちろん、売り上げ規模が倍以上の企業を買収する「小が大を飲む」ケース、異業種大手(家具・インテリア)によるホームセンター買収など、話題に事欠きません。
プライベートブランド(PB)の比率を上げることにより、利益率の向上や他店との差別化を図る動きも活発化しています。また、チェーン別ランキングでも触れたプロ向け業態の新規参入や拡大、店内への100円ショップ導入が進められ、コロナ禍で人気が高まっているアウトドア・キャンプの専門店も続々と出店しています。
ホームセンター業界は元々、ドラッグストアやディスカウントストアとの競合や地方の人口減などの構造的な停滞要因が少なくないため、以前から取り組んでいたこれらの体質強化策や同業・異業種競合との差別化戦略が今後も繰り広げられていくものと思われます。


日本ソフト販売の「チェーン店舗データ」はこちら


本記事は日本ソフト販売のチェーン店舗データをもとに作成しています。飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど、全国のチェーン店舗データを提供するサービスについて、詳しい情報を掲載しています。


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