【2024年版】ガソリンスタンドチェーンの店舗数ランキング

2024年6月10日 | 業界・地域分析

ガソリンスタンド(SS)

ここ7年の 2つの大再編を経て、石油元売り大手が3社に集約された石油業界。脱炭素の流れの中、ガソリンスタンド数はどのような動きをみせているのでしょうか。
今回は 当社のチェーン店データを元に、ガソリンスタンドのチェーン別店舗数ランキング(2024年4月時点)と前年同月比増減状況を集計しました。また、10店舗以上を展開するチェーンの店舗数年推移(2018~2024年)もまとめてみました。


データの集計方法について


  • 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
  • 2024年4月時点で、国内に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
  • 当社のチェーン店データ調査・収集は毎月を基本としていますが、隔月など定期収集のチェーンもあります。表・グラフの対象月に収集がなかったチェーンの場合、当月時点で最新のデータを記載しています。
  • 店舗数の増減率(%)は、2024年4月と2023年4月の対比で算出しています(小数点2位以下は四捨五入)。

【2024年版】ガソリンスタンドチェーン 店舗数ランキング

若干減 または 変動なし が多数 「apollostation」への切り替えは完了か


チェーン別店舗数ランキングを4月の前年同月比でみると、増加は 3チェーン、減少 6チェーン、プラスマイナスゼロの「変動なし」が 7チェーンとなっています。
ランキング 5位以内は ほとんどが 1%台の若干減。6位以降は「変動なし」が大半を占めており、増加または減少したチェーンも、数にすればプラスマイナス 1~2店舗の 小幅な動きに止まっています。

こうした中で、出光興産と昭和シェル石油の経営統合による新ブランド「apollostation」のみ 26.9%増とひときわ目立っていますが、この大幅増には理由があります。
「apollostation」は2021年4月にスタートし、旧ブランド(出光、昭和シェル石油)からの切り替えが 順次 進められていましたが、2023年4月時点は まだ途上であり、旧ブランド店舗が多数残っていました。2023年中にさらに切り替えが進んだ結果、「apollostation」の前年同月比としては「大幅増」という形になったものです。

ちなみに、2023年4月時点の「apollostation+出光+昭和シェル石油(6,127店)」と 2024年4月の「apollostation(5,925店)」とを比較すると、実質的には減少(3.3%減)していることがわかります。

この間の推移を当社データで詳しくみると、「出光」「昭和シェル石油」は 2023年4月時点でそれぞれ 600店舗前後あったものの月毎に減少し、11月には それぞれ30店舗台となっています(当社の収集は11月で終了)。経営統合後に発表されていた計画どおり、2023年でブランド切り替えが完了したものとみられます。


チェーン別店舗数ランキング(10店舗以上を展開する 計18チェーン)

順位 チェーン名 2023年4月 2024年4月 増減率(%)
1位 ENEOS 12,199 11,964 -1.9
2位 apollostation 4,670 5,925 +26.9
3位 コスモ石油 2,627 2,579 -1.8
4位 JA-SS 1,835 1,803 -1.7
5位 キグナス石油 432 426 -1.4
6位 太陽石油 307 308 +0.3
7位 ホクレンSS 255 255 0
8位 ペトラス 57 55 -3.5
9位 ユニペト 35 35 0
10位 ユニーオイル 28 26 -7.1
11位 セルフィックス 21 22 +4.8
12位 きのした 17 17 0
13位 Gasta 12 12 0
14位 オートバックスエクスプレス 11 11 0
14位 INPEX 11 11 0
16位 UENO 10 10 0

ランキングは当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


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【年推移】ガソリンスタンドチェーンの店舗数(全体、2018~2024年)

2024年(4月時点)の ガソリンスタンドチェーン全体の店舗数(※)は、2万3,459店。前年同月比で 2.2%の若干減となっています。


※当社の調査・収集による、10店舗以上を展開するチェーンの店舗数合計。すべてのガソリンスタンドを網羅したものではありません。

【表-1】2024年の店舗数(4月時点、ガソリンスタンドチェーン全体)

業種 2023年4月 2024年4月 増減率(%)
ガソリンスタンドチェーン 23,984 23,459 -2.2


【年推移】毎年少しずつ減少


当社の経年データで 近年(2018~2024年)のガソリンスタンドチェーンの店舗数(※)をみると、毎年少しずつ減少しながら推移しています。この結果、2024年4月(23,459店)と 6年前の 2018年4月(25,896店)を比較すると、9.4%減、数にして 2,437店 の減少となりました。


※当社の調査・収集による、10店舗以上を展開するチェーンの店舗数合計。すべてのガソリンスタンドを網羅したものではありません。

【表-2】店舗数の年推移と増減状況(ガソリンスタンドチェーン全体)

年月 店舗数 増減率(%) 増減数(店)
2018年4月 25,896
2019年4月 25,285 -2.4 -611
2020年4月 24,950 -1.3 -335
2021年4月 24,728 -0.9 -222
2022年4月 24,375 -1.4 -353
2023年4月 23,984 -1.6 -391
2024年4月 23,459 -2.2 -525

【まとめ】地域の生活を支えるSS(ガソリンスタンド)だが・・・

ガソリンスタンドの減少は、すでに 約 30年前から


ガソリンスタンドを開業するには、揮発油等の品質の確保等に関する法律による、経済産業省(各地方の経済産業局)への登録申請手続きが必要です。同省では、この登録ベースの給油所数を、年度末時点で取りまとめ公表しています(※)。

※経済産業省 資源エネルギー庁  令和4年度末揮発油販売業者数及び給油所数
https://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/distribution/hinnkakuhou/230728a.html


これによると、令和 4年度末(2023年3月末時点)の給油所数は 2万7,963で、前年度に比べ1.8%(512カ所)の減少となっています。近年の前年比増減率でみると、2.3%減(平成 29年度末)、2.2%減(平成 30年度末)、1.4%減(令和元年度末)、2.1%減(令和 2年度末)、1.8%減(令和 3年度末)、1.8%減(令和 4年度末)と推移しており、当社のガソリンスタンドチェーン店舗数推移(前項の【表-2】を参照)と 同様に小幅な減少傾向をたどっています。

給油所数の推移をさらに長い期間でみると、平成 6年度末の「60,421」をピークに減少し始め、以降右肩下がりで減っています。人口減や乗用車保有率の減少、燃費向上による需要減、後継者難、EVシフト等の要因から 近年 特に環境が激変している印象が強いものの、実際には すでに30年近く前から続いている傾向、ということになります。


「SS過疎地」は年々増加


また、経済産業省では、市町村内のガソリンスタンド数が 3カ所以下の自治体を「SS(サービスステーション)過疎地」と定義づけ、年度末時点の市町村数を公表しています(※)。

これによると、令和 4年度末(2023年3月末時点)で 3カ所以下の市町村の数は「358」。このうち、0カ所が「8」、1カ所「97」、2カ所「114」、3カ所は「139」という内訳です。SS過疎地は町村部が圧倒的に多いものの、中には 東京都清瀬市(2カ所)、大阪府藤井寺市・東京都小金井市・神奈川県逗子市(3カ所)といった、大都市圏の市も名を連ねているのが 意外な感じがします。
SS過疎地の市町村数は年々少しずつ増加しており、直近の令和 4年度末(358市町村)と平成24年度末(257市町村)を比較すると、過去10年で約40%(約100市町村)増えたことになります。


※経済産業省 資源エネルギー庁  令和5年3月31日時点 市町村別に見るSS過疎の状況(SS数の少ない市町村一覧)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/distribution/sskasochi/



「SS過疎地」は、自動車のガソリンだけでなく、農業機械の軽油等の給油や 高齢者への冬場の灯油配送など、地域住民の生活インフラ確保に関わる問題です。また、地震や台風といった大規模災害が頻発する昨今、災害時対応においても SSの役割がますます重要視されています。

このため近年では、地域のSSを守るために、運営を地元の第三セクターに管理委託したり、道の駅に隣接する閉鎖中のガソリンスタンドを町が買い取って再開させたり、村がガソリン等の仕入価格の10%を補助することで運営会社が閉鎖を撤回したりといった、自治体や地域住民が主体的に取り組む事例が増加しています。

いずれにせよ、人口減少・採算悪化・後継者難といった環境下にある以上、これからも「SS過疎地」の増加は避けられないものと考えられます。SSの閉鎖・廃業がさらに人口減少につながり、地域の衰退を加速させる可能性もあるだけに、今後の展開が気になるところです。

本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


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