【2024年版】ファミリーレストランチェーンの店舗数ランキング
2024年9月2日 | 業界・地域分析
アメリカ郊外のコーヒーショップレストランを参考に誕生したといわれる日本の「ファミリーレストラン」。昨今の店舗数はどのような動きをみせているのでしょうか。
今回は、当社のチェーン店データを元に、ファミリーレストランの1年間(2023年7月~2024年7月)の店舗数推移やチェーン別ランキング、前年同月比増減状況などを集計しました。
データの集計方法について
- 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
- 2024年7月時点で、国内に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
- 当社のチェーン店データ調査・収集は毎月を基本としていますが、隔月など定期収集のチェーンもあります。表・グラフの対象月に収集がなかったチェーンの場合、当月時点で最新のデータを記載しています。
- 店舗数の増減率(%)は、2024年7月と2023年7月の対比で算出しています(小数点2位以下は四捨五入)。
目次
- 【月別推移】ファミリーレストラン 店舗数(全体、2023年7月~2024年7月)
- 【2024年版】ファミリーレストラン 店舗数ランキング(上位30)
- 【海外出店動向】積極展開が少ない中、1チェーンが突出
- 【まとめ】「王道のファミレス業態」の海外進出が少ないのは なぜ?
【月別推移】ファミリーレストラン 店舗数(全体、2023年7月~2024年7月)
↓1.5% 年々少しずつ減少
ファミリーレストラン全体の店舗数推移(2023年7月~2024年7月)をみると、2023年12月と2024年6月が前月比プラスマイナスゼロだった以外は、すべての月で前月を下回っています。とはいえ、減少数は多い月でも十数店程度であるため、2024年7月と2023年7月を比較した前年比では、1.5%(94店舗)の若干減となりました。2022年版(1.8%減)、2023年版(3.2%減)、そして今回と、国内のファミレス数は少しずつ減少傾向にあります。
店舗数の前年同月比増減率
業種 | 2023年7月 | 2024年7月 | 増減率(%) |
---|---|---|---|
ファミリーレストラン | 6,438 | 6,344 | -1.5 |
【2024年版】ファミリーレストラン 店舗数ランキング
増加・減少(前年比)ともに、動きは小さい
チェーン別店舗数ランキングを7月の前年同月比でみると、30チェーン中 増加したのは 11チェーンで、プラスマイナスゼロが 4チェーン、15チェーンがマイナスとなっています。全体的にチェーン毎の増減の幅は小さく、増加も減少も 数にすると 1・2店舗程度と、多くのチェーンが「現状維持」の範囲内であるといえそうです。
1~4位の大手(ガスト、サイゼリヤ、ジョイフル、ココス)は、2022・2023年版と同様に、揃って微減 または 若干減。続く5~6位(バーミヤン、ジョリーパスタ、デニーズ)は 揃って微増・若干増となっています。「ジョリーパスタ」は3年連続で増加しているものの、2022年版、2023年版、2024年版と、増加幅が徐々に縮小してきている点が少し気になります。
こうしたことから目立って増加しているチェーンはなく、19位「洋麺屋ピエトロ」が増加率7.7%と最も高いものの、数にすると3店舗の増加に止まっています。
一方、減少率が最も大きいのはランキング11位の「ジョナサン(11.7%減)」で、「ビッグボーイ(5.9%減)」「ステーキガスト(4.6%減)」がこれに続いています。
チェーン別店舗数ランキング(上位30チェーン)
順位 | チェーン名 | 2023年7月 | 2024年7月 | 増減率(%) |
---|---|---|---|---|
1位 | ガスト | 1,282 | 1,255 | -2.1 |
2位 | サイゼリヤ | 1,056 | 1,039 | -1.6 |
3位 | ジョイフル | 611 | 608 | -0.5 |
4位 | ココス | 514 | 510 | -0.8 |
5位 | バーミヤン | 352 | 359 | +2.0 |
6位 | ジョリーパスタ | 314 | 318 | +1.3 |
6位 | デニーズ | 317 | 318 | +0.3 |
8位 | ロイヤルホスト | 218 | 216 | -0.9 |
9位 | 和食さと | 197 | 198 | +0.5 |
10位 | 夢庵 | 167 | 171 | +2.4 |
11位 | ジョナサン | 188 | 166 | -11.7 |
12位 | ビッグボーイ | 153 | 144 | -5.9 |
13位 | カプリチョーザ | 95 | 97 | +2.1 |
14位 | 和風レストランまるまつ | 90 | 90 | 0 |
15位 | ステーキガスト | 87 | 83 | -4.6 |
16位 | ポポラマーマ | 82 | 79 | -3.7 |
17位 | レストラン庄屋 | 53 | 55 | +3.8 |
18位 | ばんどう太郎 | 47 | 46 | -2.1 |
19位 | トマト&オニオン | 41 | 42 | +2.4 |
19位 | 洋麺屋ピエトロ | 39 | 42 | +7.7 |
21位 | 不二家レストラン | 39 | 40 | +2.6 |
22位 | 藍屋 | 39 | 38 | -2.6 |
22位 | 徳樹庵 | 38 | 38 | 0 |
24位 | 華屋与兵衛 | 35 | 34 | -2.9 |
24位 | ラケル | 35 | 34 | -2.9 |
26位 | 神戸元町ドリア | 31 | 31 | 0 |
27位 | おむらいす亭 | 28 | 30 | +7.1 |
28位 | ヴィクトリアステーション | 28 | 28 | 0 |
29位 | 青蓮 | 28 | 27 | -3.6 |
30位 | pia Sapido | 27 | 26 | -3.7 |
ランキングは当社のチェーン店舗データをもとに作成しています
日本ソフト販売が提供する、全国のチェーン店舗データ(飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど)についての詳しいサービス情報は、こちらからご覧いただけます。
【海外出店動向】積極展開が少ない中、1チェーンが突出
アフターコロナに入って外食需要が回復し、円安が続いてきたこともあって、 飲食チェーンの海外展開がこのところ一段と活発化しています。前回記事ではラーメンチェーンの海外出店動向をまとめましたが、ファミリーレストランの場合はどうなっているのでしょうか。当社店舗数ランキング上位30チェーン(ブランド)の、現在(2024年8月)における状況を調べてみました。
結論から先に言えば、ファミレス業界では「海外出店に積極的なチェーンは今のところ少ない」というのが実際のところです。
まず、ランキング上位30のうち、ホームページや決算報告資料で海外店舗の数が確認できたのは 3チェーンのみ。逆に 2022年にハワイ州現地子会社を解散して海外から完全撤退したチェーンや、運営会社の「沿革」で過去に海外出店の記載があるものの、現状が確認できないチェーンが 2チェーンほどみられました。
また、ランキング上位30のうち12チェーンは大手飲食 2社のブランド(※1)です。ゼンショーホールディングス(HD)の海外店舗数が10,216店舗(2024年3月末時点※2)、すかいらーくホールディングス(HD)の海外店舗数は80店(2024年6月30日現在、ホームページに記載)ですが、ファミリーレストランの内訳は公表されていません。決算報告資料等も併せてみたところでは、両社ともファミレス以外のブランドを海外展開の主力としていることがうかがえます。
※1 すかいらーくHD:ガスト、バーミヤン、夢庵、ジョナサン、ステーキガスト、トマト&オニオン、藍屋
ゼンショーHD:ココス、ジョリーパスタ、ビッグボーイ、華屋与兵衛、ヴィクトリアステーション
※2 同社2024年3月期 決算短信における、すき家・はま寿司・ファストフード・レストランの海外店舗数合計。
こうした中、突出した海外店舗数を誇っているのがイタリアンファミリーレストランの「サイゼリヤ」です。同社の2024年8月期 第3四半期決算短信によると、期末店舗数は中国を中心に514店舗で、全体の33.1%を海外が占めています。
【表】海外展開があるファミリーレストラン(※)
※対象:当社の店舗数ランキング(国内)上位30チェーン。
※各社ホームページ および 決算報告資料に掲載されている情報のみを参考に作成しました。
チェーン名 | 海外店舗数(店) | 説 明 |
---|---|---|
サイゼリヤ | 514 | 2024年5月末現在(2024年8月期第3四半期決算短信より確認)。中国、香港、台湾、シンガポール。 |
和食さと | 20 | 2023年8月現在(ホームページの店舗検索より)。タイ、シンガポール、インドネシア、台湾。 |
カプリチョーザ | 5 | 2023年8月現在(ホームページの海外店舗一覧より)。グアム、台湾、ベトナム。 |
【まとめ】「王道のファミレス業態」の海外進出が少ないのは なぜ?
ファミリーレストラン運営各社の、2024年に公開された業績発表(四半期報告・決算短信、計8社分)を調べたところ(※)、ほとんどが売上高・利益(営業利益、純利益)ともに増加の「増収増益」となっています。特に利益は前期の反動もあってか「前年同期は損失だったが今期は大幅増」といたケースも目立っています。外食需要急回復の中、価格の見直しやメニュー改善、客数・客単価アップの方策等が功を奏しているようです。
※対象:当社の店舗数ランキング上位30チェーンの運営会社。
このように目下の業績が好調な一方、ファミレスチェーンの国内店舗数は、当社のランキングをみてもわかるように少しずつ減っています。にもかかわらず、ほかの飲食チェーンに比べて「いざ海外へ」といった動きが少ないのはなぜでしょうか。
上項の【海外出店動向】で、海外店舗の数が確認できたチェーンは、イタリアンの「サイゼリヤ」「カプリチョーザ」と 和食レストラン「和食さと」。
ゼンショーHDの海外展開ブランドでは「すき家」や「はま寿司」などが、すかいらーくHDでは しゃぶしゃぶ専門店の「しゃぶ葉」が中心となっています。ロイヤルホストの運営会社も、「天丼てんや」をタイやフィリピン等で展開しています。
ファミリーレストランは、デニーズやココスのように米国発祥のチェーンもあり、そもそもは洋食中心に多様なメニューを提供する店舗形態。海外展開する上では「寿司」「ラーメン」などに比べると特徴がわかりにくい業態といえそうです。そのためか、特徴がはっきりした日本食 または 専門店業態のブランドが主に海外で展開されており、日本企業による「王道のファミレス業態」の海外展開は、ほとんど確認できないのが実情です。
そんな中、この7月(2024年)ロイヤルホールディングス(HD)が、主力業態「ロイヤルホスト」の海外1号店(直営店)をシンガポールで開店しました。「王道のファミレス業態」の海外進出はまだ少ないだけに、今後の動向に注目したいところです。
本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています
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